■ 北斎の絵に倣いしや雪柳
( ほくさいの えにならいしや ゆきやなぎ )
雪柳(ゆきやなぎ)は、桜の開花に先だって、3月下旬ごろから咲きだした。4月上旬は、見上げれば淡紅色の桜、下の方では真っ白な雪柳といった状況だったが、桜が散ると同時に雪柳も散り出した。何かあっと言う間に時が過ぎたような気がする。
*葛飾北斎:江戸時代後期(1760年~1849年)の浮世絵師で世界的に著名。大波は、「富嶽三十六景」の「神奈川沖浪裏」に描かれている。
因みに、雪柳については、波のイメージがずっとあり、過去にも以下の句を詠んでいる。
【関連句】
① 照り返す川浪のごと雪柳
② 雪柳波の飛沫に似せて咲き
①は川面を被うように咲き、白く光っている雪柳を見て詠んだ句。②は、花を波の飛沫(しぶき)に喩えて詠んだもの。今日の句の元になった句である。
雪柳は、バラ科シモツケ属の落葉低木で日本及び中国の原産とされている。花期は3月中旬頃~4月中旬頃.。名前は、雪が柳に降り積もったような花の姿に因んだもの。最近は、園芸品種と思われるピンク色の花を咲かせるものも出回っているようだが、名前にそぐわないようにも思う。別名に、小米花(こごめばな)、小米柳(こごめやなぎ)などがある。
朝よりも夕が白し雪柳 (五十嵐播水)
ゆうづつや風のわづかに雪柳 (石川桂郎)
*ゆうづづ(夕星):夕方、西の空に見える金星。宵の明星(みょうじょう)。
いつのまに月光なりし雪柳 (多田裕計)
突風の庭にゆらめき雪柳 (梅田冨美子)
雪柳花にも重みありにけり (落合水尾)
突風の庭にゆらめき雪柳 (梅田冨美子)
雪柳花にも重みありにけり (落合水尾)