■ 高台にラッパ水仙ファンファーレ
( たかだいに らっぱすいせん ふぁんふぁーれ )
水仙は、12月末頃から見られるが、その多くは日本に古来より生育する日本水仙。真冬の寒い時期に、非常に控え目な感じで咲く。だから、俳句では冬の季語にもなっている。
本日の掲句は、そのラッパ水仙を見て良んだ句である。ラッパからの連想で下五の「ファンファーレ」はすぐに出たのだが、上五については、どうするか迷った。語呂合わせで「原っぱに」とも考えたが、ファンファーレの響きをイメージして、「高台に」とした。ラッパ水仙は春の季語。
ところで、私事だが、中学校時代に吹奏学部に入っていて、ラッパを吹いていたことがあった。トランペットではなく、トロンボーンの方だが、毎日校舎の屋上に上がり、ロングトーンの練習の合間にファンファーレを奏でていたことを思い出す。山に向かって思い切り吹くというのは、実に爽快な気分だった。
*ロングトーン:一定の高さの音や声を、できるだけ長くのばして発すること。
*ファンファーレ:主に式典などで演奏される、ごく短い華やかな楽曲。
水仙は、ヒガンバナ科スイセン属の多年草で、冬から春にかけて白や黄の花を咲かせる。原産地は地中海沿岸地域。原種は30種類ほどだが、園芸品種が1万品種以上もあり、年々その品種が増えているとのこと。日本水仙は、平安時代の末期に中国経由で渡来。
既述の通り、日本水仙は12月末頃から春先まで咲くが、ラッパ水仙は、初春から晩春にかけて咲く。花は、日本水仙よりも大型で、一本の花茎に一輪だけ咲く。花色は鮮やかな黄色で、本格的な春の到来を感じさせてくれる花の一つである。
尚、冬の季語の「水仙」で詠まれた句は多数あったが、春の季語の「ラッパ水仙」で詠まれた句は少なく、参考になる句は、残念ながら見い出せなかった。