■ 姫女苑とことん咲いて疎まれず
( ひめじょおん とことんさいて うとまれず )
花としては、既に本ブログでも取り上げた「藪萱草(やぶかんぞう)」や「姫檜扇水仙(ひめひおうぎずいせん)」などがあちらこちらで咲いていた。
その他で特に目についたのが「姫女苑(ひめじょおん)」。この花は、5月終わり頃から咲き始め、道端、川辺、空地、溝など所構わず咲いている。
こんなにも野放図に咲くと当然疎まれるだろうと思うが、比較的可愛い花を咲かすので、駆除からうまく逃れて咲いているようだ。
本日の掲句は、そんなことを考えながら詠んだ。「姫女苑」は夏の季語。晩春に「春紫苑(はるじおん)」という似た花が咲くが、これは春の季語。
【関連句】
① 姫女苑群れて踊るはAKB
② 姫女苑大き空き地を席巻す
③ 雷鳴に俄に戦ぐ姫女苑
②は、広い空き地を席巻(せっけん)するように群生している様子を見て詠んだ。その繁殖力は凄まじい。
③は、鴨川沿い歩いている時に、急に空が暗くなり突風が吹いて、山手の方から雷鳴が聞こえてきた時の様子を詠んだの。 *戦ぐ(そよぐ)
「姫女苑」の名は、晩春に咲く「春紫苑」よりも花が小さいことから「姫」がつき、紛れを避けるために下は「紫苑」でなく「女苑」とされた。(異説あり)ただ一般には、「姫紫苑」とされたりと一部に混乱が見られる。
【姫女苑の参考句】
姫女苑しろじろ暮れて道とほき (伊東月草)
濁流の洲に残りたる姫女苑 (福田甲子雄)
雑草といふ草はなし姫女苑 (古川充子)
姫女苑伸びて咲き満つ埋立地 (山口恵子)
地下鉄の地上に出でて姫女苑 (小川金魚)