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Channel: 写真・俳句ブログ:犬の散歩道
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凌霄の花の屋敷も今はなし

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■ 凌霄の花の屋敷も今はなし
          ( のうぜんの はなのやしきも いまはなし )


イメージ 1先週の土曜日に行った植物園では、蓮の花の他にもいくつか満開になっている花があった。

その一つが、本日取り上げる「凌霄花(のうぜんかずら)である。植物園の「四季彩の丘」に設置された棚や樹木を覆うように花を咲かせていた。

この花木は、近辺でも何軒かの家の玄関口に植えられ、毎年この時期花を咲かせていたのだが、残念ながら最近は見られない。

一軒は、あまりも伸びすぎるので伐採され、別の一軒は主が亡くなって、家が解体されマンションが建てられたためである。誠に残念ではあるが止むを得ない。












イメージ 2本日の掲句は、そんなことを思い出しながら詠んだ句である。最近は、代替わりのせいか、家が解体され駐車場になったり、新しい家が建てられているのをよく見かける。

「凌霄(のうぜん)」は、「凌霄花」を短縮化した呼び名である。俳句では夏の季語になっている。*写真は植物園で撮影したもの。

イメージ 3因みに、「凌霄花」に関しては、これまで何句も詠んできたが、比較的ましなものを以下に掲載する。*以下の句では、「凌霄花」を「のうぜんか」と読む。

   【関連句】
    ① 街角の華燭の花よ凌霄花
    ② 絡まりて天をうかがう凌霄花
    ③ 凌霄の雨に冷たき落花かな

イメージ 4①は、花の咲く様子を華燭(燭台の灯)に喩えて詠んだ句。
②は、高木などに絡まりながらどこまでも上を目指す、凌霄花の逞しさを見て詠んだ句。
③は、冷たい雨に打たれて落花している凌霄花を見て詠んだもの。(記事最後尾の写真参照)

イメージ 5凌霄花は、ノウゼンカズラ科ノウゼンカズラ属の落葉つる性落葉樹。中国原産で平安時代に渡来したといわれている。

花期は6月~9月。茎が長く伸ばし、付着根(ふちゃくこん)で大きな木や塀を這い登り、そこから花軸を垂らしてラッパ状の橙色の花をつける。

イメージ 6名前の「のうぜん」は、漢名の「凌霄」の読み「のうせう、のせう」が「のうぜん」に転訛したもの。「かずら」は、蔓性の植物を表す。

漢名は、「凌」に「しのぐ」、「霄」には「空の果て」の意味があり、空に向かって高く咲く花ということで付けられたとのこと。

イメージ 7「凌霄花」を詠んだ句は非常に多く、これまで何句か紹介したことがあるが、今回はそれ以外のものを選んで掲載した。

  【凌霄花の参考句】
   日ざかりや凌霄おごる松の上    (森鴎外)
   抱かれ居る児の跳るなり凌霄花  (幸田露伴)
   青空に凌霄の蔓出羽の國       (八木林之介)
   凌霄花の唇ひたすにはたづみ   (池元道雄)
   凌霄が垂れ漠然と今生や      (池田澄子)

イメージ 8

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