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Channel: 写真・俳句ブログ:犬の散歩道
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土手の姫檜扇水仙しずく垂る

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■ 土手の姫檜扇水仙しずく垂る
          (  どての ひめ=ひおうぎずいせん しずくたる )


イメージ 1梅雨に入り、大雨は降らないものの断続的に通り雨が降る。すかっとした青空は暫く見られず、どんよりとした鈍色が空を覆っている。


そんなおり、近くの疏水沿いを散歩すると、夏草が生い茂り緑一色になっている土手の一画に、鮮やかな朱色の花が群れ咲いていた。


毎年のことで、さほど驚くことではないが、もうそんな時節かと、時の移ろいの早さを実感させられた。
















イメージ 2

ところで、この花の名前は「姫檜扇水仙(ひめひおうぎずいせん)」というが、10音もあるせいか季語になっていない。

しかし、方針として、季語になってないものについても、できるだけ句を詠むようにしており、これまで何句も詠んできた。(後掲)

イメージ 3名前の長いものを句の中にどう入れるか、いつも悩むところだが、これまでは字余りで対応してきた。ただ、一句ぐらいは、五七五にならずとも十七音で詠んでみようと試みたのが本日の掲句である。ただ、残念ながら一音多く十八音になった。

尚、既述の通り、「姫檜扇水仙」は季語になっていないが、まさに今の時期に咲くので、本句では夏の季語に準じるものとして詠んでいる。

イメージ 4因みに、「姫檜扇水仙」に関しては、過去に10句近く詠んでいる。以下には、その中から比較的好むものを再掲した。「モントブレチア」は洋名。

   【関連句】
    ① 夏草の土手を潤す姫檜扇水仙
    ② 汚れなき巫女の如くに姫檜扇水仙
    ③ 浪漫の夢に憧れモントブレチア     *浪漫(ろうまん)

イメージ 5①は、本日の掲句と同じ情景を見て詠んだ類想句。この句では、字余りで「姫檜扇水仙」を下五においた。
②は、花の朱色を巫女(みこ)の袴に重ねて詠んだ句。その喩えは、当たらずとも遠からずと今も思っている。
③は、洋名の「モントブレチア」の響きに、西欧風のロマンチズムを感じて詠んだ。「姫檜扇水仙」とは違った趣がある。

イメージ 6「姫檜扇水仙(モントブレチア)」は、アヤメ科モントブレチア属の多年草。南アフリカ地方原産。明治期に園芸植物として渡来し、その後野生化した。花期は7月~8月。

和名の「姫檜扇水仙」は、「檜扇水仙」=「ワトソニア」という似た花があり、それよりも小さいという意味でつけられた。但し、これらは別属の草花。

イメージ 7事のついでに言えば、「姫檜扇」あるいは「檜扇」という名の植物も別にあるので、「姫檜扇水仙」という長い名前をどこかで短縮して呼ぶ訳にはいかない。(一般的には、かなり混同して使われている。)

洋名の「モントブレチア」は、この植物を交配した仏人のモントブレットに因む。他に「クロコスミア」 という別名がある。

イメージ 8姫檜扇水仙(モントブレチア)は季語になっていないせいか、詠まれた句はほとんどないので、参考句は割愛する。



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