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Channel: 写真・俳句ブログ:犬の散歩道
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断捨離で忘れ難きを忘れ草

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■ 断捨離で忘れ難きを忘れ草
          ( だんしゃりで わすれがたきを わすれぐさ )


イメージ 1九州地方では大雨が続いているようだが、京都は朝から曇り空で雨は少しだけ降った。気温は25度を超えてはいるが、比較的涼しいので助かっている。

さて今日は、野原や川端などに咲いている「忘れ草(わすれぐさ)」を取り上げたい。

恐らく読者の中には「勿忘草(わすれなぐさ)」は知っているけど、「忘れ草」なんて初めて聞いたという人もいるのではないだろうか。















【野萱草(のかんぞう)   原野などに群生。花期は7〜8で橙赤色の一重六弁花。
イメージ 2かくいう自分も、「忘れ草」を知ったのは数年前のことであるが、掲句は、その「忘れ草」と「断捨離」をかけて詠んだもの。「忘れ草」は、「萱草の花」「花萱草」ともいい夏の季語。

*断捨離は、ヨーガの考え方にもある、「断行(だんぎょう)」、「捨行(しゃぎょう)」、「離行(ぎょう)」を応用したもの。「必要のないものを断ち、捨てて、執着することから離れる」という意味をあらわす。

イメージ 3ところで「忘れ草」についてだが、その概要について以下に補足しておきたい。

「忘れ草」とは、「萱草(かんぞう)」と言われるユリ科ワスレグサ属の草花のこと。中国では、春先にこの草の若芽を食べると「憂いが晴れる」といわれ、「忘草」「忘憂草」と呼ばれていたことから、「忘れ草]と呼ばれるようになった。

イメージ 4有史前に中国より日本に渡来し、万葉集にも詠まれている。例えば以下のような和歌がある。

   忘れ草 我が紐に付く 香具山の
           古りにし里を 忘れむがため   (大伴旅人)

《忘れ草を私の腰ひもに付けてみた。香具山のあたりのあの懐かしい里のことをわすれようとするために。》

イメージ 5万葉人たちは身につければ恋しさを忘れさせてくれる草として歌に詠んでいるが、その後、花を見たりするだけで「憂いを忘れさせてくれる」という意味合いに変わっていった。

「忘れ草」と呼ばれる草花の代表的なものとしては「野萱草」「薮萱草」「浜萱草」などがある。
*写真の1~5枚目が「野萱草」、6~7枚目が「藪萱草」、8枚目が「浜萱草」。

【藪萱草(やぶかんぞう)】  野原、薮などに自生。花期は7〜8月で橙赤色の八重咲き。
イメージ 6話は戻って、過去には「忘れ草」という名前に託して以下のような句を詠んでいる。

  【関連句】
   ① 悲しきを花に託して忘れ草
   ② 憂きことは川に流して忘れ草

   ③ 忘れたきこと忘れられずに藪萱草

イメージ 7①は、藪萱草=忘れ草だということを初めて知った時に詠んだ句。
②は、たまたま川沿いに咲いていた薮萱草を見て詠んだ句。
③は、忘れたいこと、忘れたくないこと様々あるが、もっとも辛いのは忘れたいことが忘れられないことだろうと思い詠んだ句。



【浜萱草(はまかんぞう)】 暖地の海岸などに群生。花期は7月~10月で橙赤色の一重六弁花。
イメージ 8記事が長くなったので、「忘れ草」の参考句は割愛する。


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