■ 父子より見目麗しく母子草
( ちちこより みめうるわしく ははこぐさ )
しかし、花の方は4月から6月頃に咲き、季語としては春に分類され、今も道端などでよく見かける。
*母子草→
*父子草
「母子草」と同じ時期に花を咲かせ、草の立ち姿もよく似ているので、この名がついたようだが、花があまりにも地味なので、ほとんど注目されない。
本日の掲句は、そんなことも考慮しながら詠んだ句である。母子草の花は、他の花と比べてそれほど華やかなものではないが、父子草と比べれば格段に見目麗しい。
【関連句】
① 抱かれて笑こぼれたり母子草
② 随分と地味に咲きたり父子草
②は、父子草を初めて見た時の率直な印象を詠んだ句である。
葉や茎が、柔らかな白毛に覆われているため、全体が白っぽく優しい感じがする。花期は4月から6月頃。ヘラ形の葉の間から伸びた花茎に、黄色い小花を球状につける。
一方、父子草は、キク科ハハコグサ属の多年草で在来種。全体に白い毛が多いが、目に映る側には毛が少なく、緑に見えるところが多い。花期は5月から10月と長い。
【母子草の参考句】
老いて尚なつかしき名の母子草 (高濱虚子)
母子草利根の船路はすたりける (水原秋桜子)
父子草母子草その話せん (高野素十)
母子草やさしき名なり莟もち (山口青邨)
引きのこしおきたる母子草咲けり (黒田杏子)