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Channel: 写真・俳句ブログ:犬の散歩道
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父子より見目麗しく母子草

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■ 父子より見目麗しく母子草
    ( ちちこより みめうるわしく ははこぐさ )


イメージ 1今日取り上げる「母子草(ははこぐさ)」は、春の七草の一つで「御形(ごぎょう、おぎょう)」ともいわれ、若い葉や茎は食べられる。

しかし、花の方は4月から6月頃に咲き、季語としては春に分類され、今も道端などでよく見かける。









             *母子草→






父子草
イメージ 2ところで、「母子草」に対するように「父子草(ちちこぐさ)」という植物があることは、意外と知られていないのではないだろうか。

「母子草」と同じ時期に花を咲かせ、草の立ち姿もよく似ているので、この名がついたようだが、花があまりにも地味なので、ほとんど注目されない。














本日の掲句は、そんなことも考慮しながら詠んだ句である。母子草の花は、他の花と比べてそれほど華やかなものではないが、父子草と比べれば格段に見目麗しい。

イメージ 3因みに、「母子草」「父子草」に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。

 【関連句】
  ① 抱かれて笑こぼれたり母子草
  ② 随分と地味に咲きたり父子草

イメージ 4①は、優しげな母子草のイメージに、母に抱かれた嬰児(みどりご)が母に微笑み返す姿をダブらせて詠んだ句である。
②は、父子草を初めて見た時の率直な印象を詠んだ句である。

イメージ 5母子草は、キク科ハハコグサ属の越年草。日本全国に見られるが、古い時代に朝鮮から伝わったとも言われ、人里近くのどこにでも自生している。

葉や茎が、柔らかな白毛に覆われているため、全体が白っぽく優しい感じがする。花期は4月から6月頃。ヘラ形の葉の間から伸びた花茎に、黄色い小花を球状につける。

イメージ 6名前の由来には、葉や茎が白い綿毛をかぶっている様子が、母親が子を包みこむように見えるということでついたという説、昔は葉を餅に入れて草団子にして食べ、「葉っこ草」と言っていたのが転訛したという説などがある。

一方、父子草は、キク科ハハコグサ属の多年草で在来種。全体に白い毛が多いが、目に映る側には毛が少なく、緑に見えるところが多い。花期は5月から10月と長い。

イメージ 7「母子草」を詠んだ句はままあり、以下にはネットで見つけた句からいくつか選んで掲載した。

   【母子草の参考句】
   老いて尚なつかしき名の母子草 (高濱虚子)
   母子草利根の船路はすたりける (水原秋桜子)
   父子草母子草その話せん     (高野素十)
   母子草やさしき名なり莟もち    (山口青邨)
   引きのこしおきたる母子草咲けり (黒田杏子)

イメージ 8


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