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Channel: 写真・俳句ブログ:犬の散歩道
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■ ぼうたん 二句

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■ ぼうたん 二句

  ○ ぼうたんに坊さん笑まうお堂かな  
          ( ぼうたんに ぼうさんえまう おどうかな )
  ○ 大胆にぼうたんの散るお堂かな  
        ( だいたんに ぼうたんのちる おどうかな )

イメージ 1昨日、立夏を迎えたが、夏の季語になっている花でも、4月の中頃から咲いているものが結構ある。その一つが、今日取り上げる「牡丹(ぼたん)」である。

牡丹は、「立てば芍薬(しゃくやく)、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」と言われるように、美しい女性を形容する花としても知られている。

その花が咲いているというので、1週間ほど前に京都市内にある「建仁寺(けんにんじ)」に行ってきた。

あるお堂の周りに何株もの牡丹が植えてあり、今回行った時もかなり咲いていたが、よく見ると既に散っているものも三割ほど見られた。











イメージ 2本日の掲句は、そんな牡丹の花を見ながら詠んだ句だが、句中の「ぼうたん」という言葉は、俳句でよく使われる「牡丹」の異称である。

イメージ 3尚、いずれの句も「ぼうたん」の言葉の音にあわせた押韻(おういん)の句なのだが、端的に言えば語呂合わせ、駄洒落の句である。

*押韻とは、詩歌を作る時の一つ技法で、語句の最初の音を揃えることを「頭韻(とういん)」、終わりの音を揃えることを「脚韻(きゃくいん)」という。

イメージ 4第一句は、「ぼうたん」と「ぼうさん」の頭を合わせた頭韻の句。艶やかに咲いた牡丹の花をみて、お坊さんもきっとほくそ笑んでいるだろうと想像して詠んだ。

イメージ 5第二句は、「だいたん」と「ぼうたん」の語尾をあわせた脚韻の句。牡丹の花は大きいだけに散る時も大胆である。

イメージ 6因みに、「牡丹」に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。

 【関連句】
  ① お社に牡丹かしこみ鎮座せり
  ② 牡丹みて蝶よ来いよと思いけり
  ③ 訪ね来て残る牡丹は二三輪
  
 
イメージ 7①は、ある神社の本殿前に植えられていた牡丹が、見事な大輪の花を咲かせていた様子を見て詠んだもの。
②は、牡丹の花の写真を撮っている時に、ここに蝶が飛んで来たら絵になるなと思って詠んだ句。牡丹に蝶の取り合わせは、花札の絵柄にもなっている。
③は、立夏過ぎに掲句と同じ場所に訪れた時に、ほとんどの花が既に散っていたことを残念に思い詠んだ句。    
                                 
イメージ 8牡丹は、ボタン科ボタン属の落葉小低木で、原産地は中国。日本には奈良時代に渡来したとのこと。花期は4月から5月。花の艶やかさや大きさなどから「花の王」「百花王」と呼ばれている。

漢名の「牡丹」を分解すれば「牡(おす)」「丹(あか)」となるが、その由来については諸説ある。比較的納得いくものとし、「春に根上からその芽が雄々(おお)しく出るから」という説がある。(花のイメージではなさそう。)和名の「ぼたん」は、漢名の音読み。

イメージ 9「牡丹」を詠んだ句は非常に多いが、以下には、特に「ぼうたん」でどく詠まれた句を選んで掲載した。

 【ぼうたんの参考句】
  ぼうたんを見つぼうたんを離れゆく (青柳志解樹)
  ぼうたんを剪つて羯磨のゆらぎとも (筑紫磐井)
     
*羯磨(かつま):仏教用語で行為・所作・業 (ごう) などと訳す。
  ぼうたんを剪るやはらかき茎の音  (岡田史乃)
  ぼうたんをついと嗅いでは離る人  (高澤良一)
  ぼうたんを活けて織部の絵付小屋  (篠田法子)

イメージ 10



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