■ ぼうたん 二句
○ ぼうたんに坊さん笑まうお堂かな
( ぼうたんに ぼうさんえまう おどうかな )
○ 大胆にぼうたんの散るお堂かな
○ 大胆にぼうたんの散るお堂かな
( だいたんに ぼうたんのちる おどうかな )
牡丹は、「立てば芍薬(しゃくやく)、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」と言われるように、美しい女性を形容する花としても知られている。
その花が咲いているというので、1週間ほど前に京都市内にある「建仁寺(けんにんじ)」に行ってきた。
あるお堂の周りに何株もの牡丹が植えてあり、今回行った時もかなり咲いていたが、よく見ると既に散っているものも三割ほど見られた。
*押韻とは、詩歌を作る時の一つ技法で、語句の最初の音を揃えることを「頭韻(とういん)」、終わりの音を揃えることを「脚韻(きゃくいん)」という。
【関連句】
① お社に牡丹かしこみ鎮座せり
② 牡丹みて蝶よ来いよと思いけり
③ 訪ね来て残る牡丹は二三輪
②は、牡丹の花の写真を撮っている時に、ここに蝶が飛んで来たら絵になるなと思って詠んだ句。牡丹に蝶の取り合わせは、花札の絵柄にもなっている。
③は、立夏過ぎに掲句と同じ場所に訪れた時に、ほとんどの花が既に散っていたことを残念に思い詠んだ句。
漢名の「牡丹」を分解すれば「牡(おす)」「丹(あか)」となるが、その由来については諸説ある。比較的納得いくものとし、「春に根上からその芽が雄々(おお)しく出るから」という説がある。(花のイメージではなさそう。)和名の「ぼたん」は、漢名の音読み。
【ぼうたんの参考句】
ぼうたんを見つぼうたんを離れゆく (青柳志解樹)
ぼうたんを剪つて羯磨のゆらぎとも (筑紫磐井)
*羯磨(かつま):仏教用語で行為・所作・業 (ごう) などと訳す。
ぼうたんを剪るやはらかき茎の音 (岡田史乃)
ぼうたんをついと嗅いでは離る人 (高澤良一)
ぼうたんを活けて織部の絵付小屋 (篠田法子)