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Channel: 写真・俳句ブログ:犬の散歩道
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止めどなく烏のえんどう何故咲くの

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■ 止めどなく烏のえんどう何故咲くの
    ( とめどなく からすのえんどう なぜさくの )


イメージ 1近所の桜並木はすっかり葉桜状態になり、朝に散歩すると緑が眩しいくらいである。あっという間の変化に今更ながら驚かされる。

さて、本日は目を下の方に転じ、「烏のえんどう」という野草を取り上げたい。

特に珍しいという訳ではないが、最近あまりにもよく見かけるので取り上げることにした。

とにかく、道端、川辺、野原、公園、空地などの草地に行けば、大抵生えており、まさに今、蝶形の紅紫色(ピンク)の花を所かまわず咲かせている。

本日の掲句は、そんな様子を詠んだ句。

中七下五は「烏のあかちゃん何故鳴くの」のフレーズを思い出し援用した。「烏のえんどう」は歴とした春の季語。



イメージ 2
ところで、「烏のえんどう」については、「烏の」+「豌豆(えんどう)」と覚えている人が多いのではないだろうか。(かくいう自分もそうだった。)

しかし、正しくは「烏」+「野豌豆(のえんどう)」。「野豌豆」は中国名からきており、種子が黒いことから「烏」が冠せられたと言われている。(異説あり)

イメージ 3因みに、「烏野豌豆」に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。

 【関連句】
  ① 沿道の烏野豌豆から雀
  ② どこ行けど烏と烏野豌豆
  ③ 鳴きもせで蔓延る烏野豌豆 
*蔓延る(はびこる)

イメージ 4①の句意は、「沿道の烏野豌豆が咲いている草むらから、雀がとび出てきた」というもので、もっぱら語呂合わせを考えて詠んだ句。
②は、烏(鴉)はどこにでもいる鳥だが、烏野豌豆もどこに行っても咲いていると詠んだたわいもない句。
③は、名前にある烏(からす)に着目し、上五に「鳴きもせで」をおいた。
*【せで】 サ行変格動詞「す」の未然形+打消の接続助詞「で」。~しないで。

イメージ 5「烏野豌豆」はマメ科ソラマメ属の越年草。原産地はオリエントから地中海。日本では、古代の麦作農耕の開始期に、豌豆などと同様に栽培されていた。

花期は3月~6月。エンドウに似た小型の紅紫色の花を付ける。豆果は熟すると黒くなって晴天の日に裂け、種子を激しく弾き飛ばす。

イメージ 6植物学ではヤハズエンドウ(矢筈豌豆)が標準的な和名。矢筈とは、弓矢の矢の一番根元を弦にはさむ所で、葉っぱの先が凹んでいるところから名が付いたとのこと。

ついてに言えば、近縁種に「雀野豌豆(すずめのえんどう)」がある。これは、「烏野豌豆」よりも小さいということで、その名がつけられた。 (最後尾の写真参照)

面白いことに、その中間のものがあり、その名が「烏雀間草(かすまぐさ)」。烏の「か」と雀の「す」に「間(ま)」をつけた名前。ちょっと笑える。

イメージ 7「烏野豌豆」の詠んだ俳句をネットで検索すると自分が過去に詠んだ句(上記)と以下の句しか見つからなかった。まだ、詠まれた句が少ないようである。

  子供よくきてからすのゑんどうある草地 (川島彷徨子)

*雀野豌豆
イメージ 8

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