■ 木漏れ日の水面に光る水芭蕉
( こもれびの みなもにひかる みずばしょう )
こちらは、長野県阿智村にあるスキー場で、スキーシーズン以外はロープウェイやリストで新緑や紅葉などの山景を楽しんだり、トレッキングや山野草の観察などができる。
当日は、新緑の方はまだだったが、「水芭蕉」の方はかなり咲いていた。
いくつかの群生地があり、特に「いわなの森」という森林の川辺に咲いているものが印象的だった。
本日の掲句は、その様子を詠んだもの。木々の葉から漏れる日を受けて、水芭蕉の白い仏炎苞(ぶつえんほう)が光って見えた。
しかし、これは半分間違っている。実際のところ、水芭蕉の開花時期は、低地では春の4月から5月、高地では夏の5月から7月だそうだ。
尚、季語としては夏に分類されているようだが、平地に合わせて春に分類する歳時記もあるとのこと。
発芽直後に葉間中央から純白の「仏炎苞」と呼ばれる苞が開く。これは、一見すると花に見えるが葉の変形したもので、仏像の背景にある炎形の飾りに見立てて名付けられた。本当の花は、その中央に見える円柱状の部分で、小花が多数集まっている。
「水芭蕉」の名前は、花の後から生える葉が「芭蕉」に似ており、水辺に生えることに由来する。
【水芭蕉の参考句】
花と影ひとつに霧の水芭蕉 (水原秋桜子)
隠り沼をふちどる花の水芭蕉 (能村登四郎)
峠にはまだ雪消えず水芭蕉 (滝井孝作)
湿原のひかりの翼水芭蕉 (森田博)
水芭蕉水面に山の影重ね (宮崎要子)
*珍しい「黄花水芭蕉」