■ 目を凝らし見れば青木も花盛り
( めをこらし みれば あおきも はなざかり )
しかし、満開を迎えているのは桜だけでなく他にも多くあるが、中には満開になっても見向きもされない花がある。
それが、今日取り上げる「青木の花」である。
青木は庭木や生垣として植えられることが多いが、その花は木を覆うほどに咲くが、ほとんど目立たない。
花の大きさは5mmぐらいで、色が赤褐色なので葉の色にかき消されてしまう。また、遠くから見ると塵芥のように見える。
本日の掲句は、そんな青木の花を見て詠んだ句だが、目を凝らして見ないと、それが花なのかどうかさえ分からない。
*雄花→
*
雌花↓
もっとも、青木の花は虫媒花なので、人間に愛でられなくとも贔屓の虫に愛されれば、それで良いのかもしれないが。
尚、「青木の花」「花青木」「青木咲く」は春の季語。「青木の実」は冬の季語。
【関連句】
① 忍者では?手裏剣のごと花青木
② 密やかに咲くや青木の十字花
②は、①と同じ印象をもう少しまともに詠んだん句。
日陰や寒いところででもよく育ち、公害にも強いので、日当たりの悪い場所の庭園樹として重宝がられている。
*写真の2枚目が雌花でそれ以外は雄花。
雌株は11月から3月にかけて楕円形の赤い実を結ぶが、近くに雄株がない場合は結実しない。従って、果実についても見たことがないという人が意外と多い。
【青木の花の参考句】
ちかぢかと吾が息に触れ花青木 (青柳志解樹)
目を病めばうすうすけぶる花青木 (安部まつ枝)
蔵町の蔵の奥なる青木咲く (蓑谷皐一)
静かなる雨の訣れや花青木 (伊藤静代)
花青木あけつぱなしの五合庵 (山田みづえ)