■ 早々と冷たき雨に散る桜
( はやばやと つめたきあめに ちるさくら )
( はやばやと つめたきあめに ちるさくら )
数日前から桜が散り始め、一斉に花が散りだすことを懸念していた矢先だったが、それを後押しするかのような突然の雨。
少し恨めしくもあるが、桜の満開の後、毎年こうした雨が必ず降る。制御できない自然現象でもあり、やむを得ないのかもしれない。
本日はそんなこともあり、投稿を予定していた題材を変え、「雨に散る桜」をテーマに句を詠み、写真を掲載することにした。
掲句は、その様子をそのまま詠んだ句だが、上五の「早々と」には、もう少し待ってから散って欲しいという思いを込めた。
*以下の季語で「花」は「桜」を指す。
「桜散る」「花散る」「飛花」「落花」「花吹雪」「花筏」「花筵」「花屑」「花の塵」「花埃」
日本人の桜を愛する気持ちは尋常でなく、花の咲いた状態は当然として、散りゆく桜にも並々ならぬ思いを致してきたことがよく分る。
① 花吹雪ああ花筵花筏
② 雨あとの道は桜に染まりけり
②は、雨が降った後の道が、桜の花びらで埋まり、桜色に染まった様子を詠んだ。
【散る桜等の参考句】
声よくば謡はうものを桜散る (松尾芭蕉)
花散るや色即是空と観ずべし (寺田寅彦)
花散ると言へど腹へるかなしさよ (小檜山繁子)
花の世の花散る山の音すなり (石原八束)
国中の水の全てに散る桜 (対馬康子)