■ 小ささを数でカバーや耳菜草
( ちいささを かずでかばーや みみなぐさ )
本日と上げる「耳菜草(みみなぐさ)」は、野に咲くというよも町中の道端に咲く野草と言って良いほど身近で見られる野草である。
繁縷(はこべ)ほどの小さな花を茎の先に窮屈そうに咲かす野草だが、本ブログではこれまで一度も取り上げてこなかった。
花が萎んでいることが多く、あまり見映えがしないためだが、最近よく見かけるので今回取り上げることにした。
本日の掲句は、この耳菜草が方々で咲いているのを見て、小さいという弱点を数でカバーしているんだねと詠んだもの。「耳菜草」は歴とした春の季語。
尚、写真のものは同じ耳菜草でも外来種で、正式には「オランダ耳菜草」という。現在では在来種がほとんど駆逐され、町中で見られるのは大概この外来種だそうだ。
オランダ耳菜草は、ナデシコ科ミミナグサ属の一年草。オランダなど欧州原産の帰化植物。日本には明治時代末頃に渡来し、今は日本全国に分布している。
花期は3月~5月。花茎を伸ばし先端に米粒大の白い5弁の花を密集して咲かせる。花色は白で切れ込みがある。萼片5枚、雄蕊10本、花柱は5本。
葉は淡緑色で毛があり対生して付く。その葉の形がネズミの耳に似ていることから、名前に「耳」がつき、食べられることから「菜」がついたと言われている。
在来種の耳菜草との違いは、萼片が花弁より短いので花を閉じた時に花弁がはみ出ること、花柄が短く多数の花が密集して咲くこと、萼、茎などが暗紫色を帯びないことなど。
「耳菜草」は春の季語になっているが、詠まれた句が見つからなかったので参考句は割愛する。
*姫踊子草とのコラボレーション