■ 年年歳歳いつもの場所に姫立金花
( ねんねんさいさい いつものばしょに ひめりゅうきんか )
今日取り上げる「姫立金花(ひめりゅうきんか)」もその一つで、いつもの散歩道の傍らに今年も群生し、黄金色の咲かせていた。
本日の掲句は、その様子を詠んだ句であるが、毎年毎年、同じ時期に同じ場所で馴染みの花が咲くと何とはなしに心が安らぐ。
尚、「姫立金花」は季語になっていないが、春に咲く花なので、本句では春の季語として詠んだ。
ところで、上五の「年年歳歳」という言葉は、ご存知の人も多いと思うが、以下の慣用句として使われている。
年年歳歳花相似たり
( ねんねんさいさい はなあいにたり )
歳歳年年人同じからず
( さいさいねんねん ひとおなじからず )
これは、「春になれば、毎年同じように花は咲くけれども、その花を見ている人は、毎年変わっていて同じではない」という意で、人の世のはかなさや無常を、自然と対比させて詠んだ詩の一節から引用されたもの。
*出典は、唐代の詩人、劉希夷(りゅうきい):651~680?の「代悲白頭翁:白頭を悲しむ翁に代わりて」と題する詩の第4節。
ただし、花についても似たりといえ、仔細に見れば毎年変わっている。全体で見るか個々に見るかによってとらえ方は自ずと違ってくる。
【関連句】
① ようやくに君の名知りし姫立金花
② 道の辺にきらきらと姫立金花
②は、同じ散歩道で咲いていた花が、朝日に当たりきらきら輝いていたのを見て詠んだ。
花期は2月~4月。黄色または白色の花を咲かせるが、現在、多くの改良品種があるとのこと。
厄介なのは、「立金花」がキンポウゲ科リュウキンカ属の花で、「姫立金花」とは同科だが別属だということ。だから「姫立金花」を略して「立金花」とは呼べない。