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Channel: 写真・俳句ブログ:犬の散歩道
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始まりはいつも新し沈丁花

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■ 始まりはいつも新し沈丁花  
                          (  はじまりは いつもあたらし じんちょうげ  )


イメージ 11か月程前から、赤紫色の細い莟を束ねるように枝先に付けていた沈丁花(じんちょうげ)。

今、その莟の一つ一つが順々に綻び始め、毬のような花となって、木全体に咲き乱れている。

本日の掲句は、その花の様子を見て詠んだ句である。

沈丁花の花弁らしきものは、実は萼(がく)なのだが莟の時は赤紫色。開くと裏側の真っ白な部分が見えるようになる。

その赤紫と白のコントラストが実に美しく、それが緑の葉に映えて、得も言えぬ景を醸し出す。

上五、中七の「始まりはいつも新し」は、その新鮮なイメージから浮かんだ言葉。

「沈丁花」は「沈丁」とも言い、春の季語になっている。




イメージ 2


因みに、「沈丁花」に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。

   【関連句】
    ① 紫の内に真白く沈丁花
    ② 甘かおるブーケのごとく沈丁花  
*甘かおる(あまかおる)
    ③ 花も香もはみ出しており沈丁花

イメージ 3①は、花の色に拘って詠んだもの。赤紫色のコートを翻して見せた白い妖艶な姿をイメージして詠んでみた。
②は、花の咲いた姿が小さいブーケ(花束)のようにも見え、それに香りを添えて詠んだ。
③は、花が生垣や玄関先からぐっとはみ出して咲いている様子を詠んだもの。

イメージ 4沈丁花は、ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属の常緑低木で「ちんちょうげ」とも言われている。原産地は中国南部からヒマラヤ。日本には室町時代中期以降に渡来。

雌雄異株で、雌株は直径1cmほどの赤い実をつける。日本にある木は、なぜかほとんどが雄株で実を見るのはまれだとのこと。(自分もまだ見たことがない。)

イメージ 5花期は2月末~4月。既述の通り、莟は赤紫色だが開いた花は白ないしは淡紅色。花弁はなく雄蕊は黄色。名前は、香木の沈香(じんこう)のような香りがあり、葉が丁子(ちょうじ)に似ていることから付けられたと言われている。

香りの良い花として、夏の梔子(くちなし)、秋の金木犀(きんもくせい)を先ず思い出すが、春はやはり沈丁花である。

イメージ 6「沈丁花」「沈丁」を詠んだ句は多く、その中からいくつか選定し以下に掲載した。(過去に掲載したものを除く。)

    【沈丁(花)の参考句】
     沈丁の香の石階に佇みぬ (高濱虚子)
     沈丁の下枝影して日闌けたり (鈴木花蓑)
     沈丁の坂開港のむかしより (宮津昭彦)
     沈丁の香にそひ上る館かな (星野立子)
     沈丁にすこし開けおく夜の障子 (有働亨)

イメージ 7

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