■ 仏さま座るに多し仏の座
( ほとけさま すわるにおおし ほとけのざ )
とは言っても、岡山のように近くであれば、京都とそれほど違いはなく、花木であれば梅、椿など、野草では、大犬のふぐりや姫踊子草などが所々で花を咲かせていた。
ただ、少し違うと思ったのは、「仏の座(ほとけのざ)」が京都よりも一足先に花を咲かせていたことである。
本日の掲句は、その「仏の座」が田んぼの畔に群生し、花を咲かせているのを見て詠んだ句である。
この草花の名前は、葉っぱが仏様の蓮華座にそっくりなので付けられたとそうだが、こんなに「座」があると仏様も困るのではないかと思って詠んだ。
尚、「仏の座」は春の七草の一つで新年の季語になっているが、これは本日紹介したものとは全く別のもので、キク科の「小鬼田平子(こおにたびらこ)」を指す。
*「小鬼田平子」を「「仏の座」と呼ぶのは、ロゼット葉の姿を蓮華座に見立てたことによる。
だから、写真の「仏の座」は季語とは言えないが、この草花の方がよく知られるようになり、混同され説明されることが多い。本句でも勝手ながら、春の季語に準じて使用した。
【関連句】
① 空地ゆえほとけほっとけ仏の座
② 山川の荒れ地にぞ生う仏の座 *生う(おう)
③ 人の世はちと騒がしき仏の座
②は、仏の座がある荒れ地に大量に咲いているのを見て詠んだ句。「山川草木悉皆成仏( さんせんそうもくしっかいじょうぶつ )」とは、「山、川、草、木など心の無いものも、全て仏性を有しており、ことごとく仏になれる」という意。
③は、世界的にも日本においても、,最近何だか騒がしいと嘆じて詠んだ句。
先日取り上げた「姫踊子草」とは同科同属の植物であり、よく見れば花形が非常に似ている。しかし、葉形はかなり違っており、なぜこのように違った形になったのか、何とも不思議に思う。
*左は「仏の座」の小花。右は「姫踊子草」の小花。
![イメージ 5]()
▼▼
【仏の座の参考句】
遠来のもののごとくに仏の座 (鷹羽狩行)
雲割れて日矢の射しけり仏の座 (豊長みのる)
山裾の日に燦とあり仏の座 (工藤弘子)
打ち晴れて富士孤高なる仏の座 (勝又一透)
日の先にあそぶ雀や仏の座 (本土みよ治)