Quantcast
Channel: 写真・俳句ブログ:犬の散歩道
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1553

咲き初めて赤味の残る花馬酔木

$
0
0
■ 咲き初めて赤味の残る花馬酔木
                           (  さきそめて あかみののこる はなあせび  )


イメージ 13月に入り、野草だけでなく花木も徐々に花を咲かせ始めた。

以前より花を咲かせている蝋梅、梅、椿、満作以外では、「馬酔木(あせび)」の白い花が目立つようになったきた。

ただ、莟の赤味を幾分残しながら咲いているものが多く、木全体を真っ白に覆うまでにはもう少し時間がかかりそうだ。

本日の掲句は、そんな馬酔木の花を見て詠んだものである。「馬酔木」「馬酔木の花」「花馬酔木」は春の季語。

尚、呼び方は、植物学的には「あせび」が正式のようだが、文学上は「あしび」と呼ばれることが多い。

伊藤左千夫を中心に創刊された短歌雑誌「馬酔木」も水原秋桜子が主宰した同名の俳句雑誌も「あしび」と呼ばれている。




イメージ 2因みに「馬酔木」に関しては、過去に10句ほど詠んでいるが比較的好むものを以下に再掲したい。

   【関連句】
    ① 矢来垣越えて耀う花馬酔木
    ② 参道は白こそ良けれ花馬酔木
    ③ 紅潮の馬酔木何やら艶めかし

イメージ 3①は、古い屋敷の矢来垣(やらいがき)から溢れるように咲いていた花を見て詠んだ。矢来垣とは、竹の先端を斜めに切って尖らせ、人の侵入を防ぐためのもの。
②は、ある神社の参道で、真っ白な色の馬酔木の花を見て詠んだ。中七「白こそ良けれ」は、「白」に語句を強調する係助詞「こそ」+「良し」の已然形。係り結びの文法規則による。
③は、園芸品種の「薄紅馬酔木(うすべにあせび)」の花を見て詠んだもの。やはり白花のものとは大分印象が違う。(最後の写真参照。)

イメージ 4馬酔木は、ツツジ科アセビ属の常緑低木。原産地は日本。花期は2月~4月。壷形の花を房状に沢山咲かせる。花色は、白色、紅色、紫色。万葉集にも歌がいくつか詠まれており、古くから日本で親しまれてきた花木の一つである。

イメージ 5名前は、枝葉に「アセボトキシン」などの有毒成分を含んでいて、馬が食べると酔って足がなえることから「足癈(あしじひ)」と呼ばれ、次第に変化して「あしび」そして「あせび」となったとされている。 漢字の「馬酔木」も同じ由来による。(異説あり)

イメージ 6「馬酔木」を詠んだ句はたくさんあり、これまで何句か本ブログでも紹介したが、以下にはそれ以外のものを掲載した。 

    【馬酔木の参考句】
     或る門のくづれて居るに馬酔木かな  (水原秋櫻子)
     雲の中を蒼滝おちぬ花馬酔木      (桂樟蹊子)
     馬酔木咲き歳月戻す雨の中          (古舘曹人)
     馬酔木咲き森の奥まで透く夕日     (根岸善雄)
     吉野路の雨やいづこも馬酔木咲き   (長屋せい子)


▼▼薄紅馬酔木(うすべにあせび)

イメージ 7


Viewing all articles
Browse latest Browse all 1553

Trending Articles