■ 春川の風は冷たき京マラソン
( はるかわの かぜはつめたき きょうまらそん )
このマラソン大会が開始されたのは、東日本大震災が起こった翌年2012年の3月11日。それ以来復興支援などをテーマに開催され、今回で8回目となる。
コースは、西京極から嵐山、金閣寺、上賀茂神社、植物園、鴨川河川敷、京都大学などを巡り、ゴールは平安神宮。京都の名所を結ぶ楽しそうなコースである。
毎年見ているが、今年はいつも行く植物園の近くに行って見た。コースの一部がこの植物園の中に設定され、賀茂川(鴨川上流)の河川敷も走る。
本日の掲句は、特に賀茂川沿いで見た時の様子を詠んだもの。春に入ったとは言え、賀茂川の風はまだ冷たかった。
尚、本句では、「冷たき」が冬の季語なので、上五に敢えて「春川」を入れ春の句とした。
「春川」「春の川」は、春雨や雪解け水を湛えて流れる川のことで春の季語。
【関連句】
① マラソンにかける希望や震災忌
② 誰がために走るや春の京マラソン
③ 春日和ファイトがんばれ京マラソン
④ 今日こそは誉めてやりたい春マラソン
*「震災忌」は、通常、大正十二年に起こった関東大震災を記念した日で、秋の季語となっている。この点は大目に見て頂きたい。
②は、あれだけ長い距離を、誰のために何のために走るのだろうと思いつつ詠んだ句。
③は、懸命に走る人たちを「ファイト」「がんばれ」と応援する人たちの姿に注目して詠んだ句。
④は、完走したランナーに感情移入して詠んだ句。走ったことがないので分からないが、完走すれば何とも言えぬ達成感を味わえることだろう。
【マラソンの参考句】
マラソンが歩いてきたる野菊かな (細川加賀)
マラソンの背に負ふ孤独北風つよし (中尾みどり)
千人の地ひびきマラソン枯野へ発つ (豊田晃)
寒中マラソン紙吹雪のごと発走す (内田美紗)
マラソンの息が過ぎたる冬の幹 (岸原清行)