■ 雪被き夏柑光る坂の家
( ゆきかずき なつかんひかる さかのいえ )
雪国のように雪掻きするほど積もってなかったので、早速散策にでかけ、様々な木々が雪に覆われている景を楽しんだ。
特に南天の朱い実、椿の紅い花などが白い雪の間から見える様子は一幅の絵になる。
他にも蝋梅の黄色い花も見えたが、ある路地では夏柑(夏蜜柑)が雪を被いて黄色く光っているのが見えた。
本日の掲句は、その様子を詠んだものである。
尚、「夏柑」「夏蜜柑」は春(もしくは夏)の季語だが、本句では「雪」を冬の季語として冬の句とした。
*通常の「蜜柑」は冬の季語。
ところで、京都に住んで意外だったことの一つは、この夏蜜柑を庭に植えているお宅が結構あるということである。年末から黄色く色づく景は、冬の風物詩にもなっている。
【関連句】
① 夏柑の聖樹の灯りに見ゆる日よ
② 冬晴れに夏柑の黄の眩しきや
②は、京都御苑を訪れた時、南門に夏蜜柑が沢山の実をつけているのを見て詠んだ句。冬晴れの空に黄色が映えていた。
晩秋に色付くが、春先までは酸味が強く、当初食用には向かないと言われていた。しかし、初夏になると酸味が減じることが分かり、夏の貴重な柑橘類として広く栽培されるようになったとのこと。
【夏柑等の参考句】
満山の仏とあそぶ夏蜜柑 (加藤楸邨)
夏蜜柑人親切に空青く (京極杞陽)
夏蜜柑熟るゝに花も匂ひけり (佐藤瑠璃)
夏蜜柑いづこも遠く思はるる (永田耕衣)
朝もぎの甘夏を売るシーサイド (金元喜代子)