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Channel: 写真・俳句ブログ:犬の散歩道
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霜日和お多福南天赤み増す

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■ 霜日和お多福南天赤み増す 
                                ( しもびより おたふくなんてん あかみます )


イメージ 1最近、街中を歩いていると、背丈は低く葉が真っ赤に色づいている植物をよく見かける。

名前は「お多福南天(おたふくなんてん)」という。

その由来は「南天」の仲間であり、葉がふっくらして「お多福」に似ているからだそうだ。

「お多福」とは、鼻が低く頬が丸く張り出した女性の顔、あるいは面のこと。

昔は福を呼ぶ好ましい顔立ちとされていたが、美意識の変化からか、最近は不細工な女性を罵る語としても用いられている。










イメージ 2


それにしても、「難を転じる」に通じる「南天」、「福をもたらす」という「お多福」を併せ持ったこの植物。何と欲張った名前なんだろう。そんな思いをかつて以下のように詠んだ。

    欲張りな お多福南天冬紅葉

もっとも欲張りなのは名前をつけた人間であって、当の「お多福南天」には何の咎(とが)もないが・・・。

イメージ 3さて、本日の掲句は名前から少し離れて、この植物が霜を帯びて赤みを増している様子を詠んだ句である。

上五の「霜日和」とは、朝霜が降りたあとの晴天のこと。「霜晴れ」ともいい冬の季語になっている。「お多福南天」は季語でないので、敢えてこの語を使った。


イメージ 4お多福南天は、メギ科ナンテン属の常緑性低木。原産地は日本で、江戸時代に「南天ブーム」があり、紅葉を楽しむために品種改良したもの。

常緑樹で落葉せず、晩秋から冬にかけ葉っぱに霜が当たると緑色から赤色に紅葉する。面白いことに春になると少しずつ減色して緑色に戻る。


イメージ 5草丈が50センチほどにしか生長せず、花も実も付きにくいので、グランドカバーや生垣としてよく植えられている。

別名に「五色南天(ごしきなんてん)」「阿亀南天(おかめなんてん)」などがある。

イメージ 6「お多福南天」を詠んだ句はほとんどないので、参考句は「霜日和」を詠んだ句をいくつか以下に掲載した。

    【霜日和の参考句】
     空色の山は上総か霜日和    (小林一茶) 
*上総(かずさ)
     庭下駄に茶の花摘まん霜日和  (正岡子規)
     橋脚に早瀬のからむ霜日和   (石原舟月)
     河岸をゆく羽織たらりと霜日和  (飯田蛇笏) 
*河岸(かし)
     薪投げて登り窯たく霜日和    (石原八束)

イメージ 7

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