■ 梔子や色あせたれど香を残し
(くちなしや いろあせたれど かをのこし)
梔子(くちなし)の花は、咲いた時は純白できれいなのだが、数日たつと薄い茶色が白に滲(にじ)んできて、最後は汚れた雑巾のような色になって萎(しお)れてしまう。
上句は、そんな景を詠んだ句である。「梔子の花」「花梔子(はなくちなし)」は、夏の季語で、「梔子の実」とすると秋の季語となる。
因みに昨年は、梔子の花が早く色あせることを惜しみ、以下のように詠んだ。
(2012/7/6作)
梔子は、アカネ科クチナシ属の常緑低木。原産地は、日本、台湾、中国など。花は純白で、六弁の一重咲きのものと八重咲きものがあり、甘い香がする。花期は6~7月で、一重咲きのものは、10月~11月ごろに赤黄色の果実をつける。
以下に、色褪せた梔子の花を詠んだ句を選び、参考句として掲載した。
【参考句】
口なしの花はや文の褪せるごと (中村草田男)
くちなしの日に日に花のよごれつつ (星野立子)
山梔子の花錆びて尚香を放ち (稲畑廣太郎) *山梔子(くちなし)
梔子の花つつがなく錆びにけり (箕輪カオル)
錆びてより山梔子の花長らへる (棚山波朗)
口なしの花はや文の褪せるごと (中村草田男)
くちなしの日に日に花のよごれつつ (星野立子)
山梔子の花錆びて尚香を放ち (稲畑廣太郎) *山梔子(くちなし)
梔子の花つつがなく錆びにけり (箕輪カオル)
錆びてより山梔子の花長らへる (棚山波朗)