■雪と鹿威し 二句
○ 雪の寺森閑として鹿威し ( ゆきのてら しんかんとして ししおどし )
○ 春の雪スローテンポに鹿威し ( はるのゆき すろーてんぽに ししおどし )
今朝は昨夜からの雪で、辺り一面真っ白になっていた。先週末の雪よりも多く、今も降り続けている。ただ先週末のべとべとした霙(みぞれ)よりもましで、ふわふわした感じである。そんなこともあり、本日の掲出句は予定を変えて雪の句とした。
第一句は、雪が降る中、近くの寺に寄った時に、静けさを破る様にカーンという鹿威し(「ししおどし)の乾いた音が聞こえてきた。そんな情景を詠んだものである。この句では、敢えて下五を「雪の寺」とし、「雪」を季語とする冬の句とした。
第二句は、鹿威しのスローテンポなリズムに注目し詠んだ句である。上五に「春の雪」を置き、本格的な春が遅々として来ないこと、春ののんびりした雰囲気などをイメージして作った。
ところで、「雪」と「鹿威し」との取り合わせだが、こういう取り合わせは想像ではなかなか思い浮かばない。実際に現場へ行って見て、初めて気づくことが多いし、新鮮な驚きもある。それ故、俳句は、実際に見たこと、体験したことをできるだけ詠むように心掛けている。
ただ、掲出句の第一句は、実際に見たのが今日、すなわち早春なのだから、本来なら「春の雪」で詠まなければならない。この点に関しては、冬の句としても通じるかどうかを検討の上、問題なければ、季を変えるなどの融通はきかせている。
また、第二句では、実際に体験した場所である「寺」を外した。俳句の十七音の中で何を省略するかは、常に悩ましいことだが、この句では、鹿威し自体に古式の日本庭園を想像させる要素があり、許容されるものと見た。
余談だが、「鹿威し」は、「鹿脅し」、「獅子脅し」と書くこともあるが、「鹿威し」が正しいそうだ。また、鹿威しは、田畑を荒らす鹿や猪、鳥などを脅すための装置全般を言い、「案山子」や「鳴子」などもその一種だったが、中でも、竹筒に水を火切れて音を出す「添水(そうず)」をもっぱら指すようになったとのこと。この添水が鹿威しとともに秋の季語になっていることは後で知った。 ![イメージ 1]()
第二句は、鹿威しのスローテンポなリズムに注目し詠んだ句である。上五に「春の雪」を置き、本格的な春が遅々として来ないこと、春ののんびりした雰囲気などをイメージして作った。
ところで、「雪」と「鹿威し」との取り合わせだが、こういう取り合わせは想像ではなかなか思い浮かばない。実際に現場へ行って見て、初めて気づくことが多いし、新鮮な驚きもある。それ故、俳句は、実際に見たこと、体験したことをできるだけ詠むように心掛けている。
ただ、掲出句の第一句は、実際に見たのが今日、すなわち早春なのだから、本来なら「春の雪」で詠まなければならない。この点に関しては、冬の句としても通じるかどうかを検討の上、問題なければ、季を変えるなどの融通はきかせている。
また、第二句では、実際に体験した場所である「寺」を外した。俳句の十七音の中で何を省略するかは、常に悩ましいことだが、この句では、鹿威し自体に古式の日本庭園を想像させる要素があり、許容されるものと見た。
余談だが、「鹿威し」は、「鹿脅し」、「獅子脅し」と書くこともあるが、「鹿威し」が正しいそうだ。また、鹿威しは、田畑を荒らす鹿や猪、鳥などを脅すための装置全般を言い、「案山子」や「鳴子」などもその一種だったが、中でも、竹筒に水を火切れて音を出す「添水(そうず)」をもっぱら指すようになったとのこと。この添水が鹿威しとともに秋の季語になっていることは後で知った。