■ 菊花展どの花綺麗と菊に聞く
( きっかてん どのはなきれいと きくにきく )
*大菊福助仕立て
毎週月曜日は、その時々の代表的な植物を取り上げるようにしているが、今現在であれば、「菊」ということになるだろう。
ただ、近所では、なかなか見ることができないため、昨日京都の植物園で開催されている「菊花展」を見てきた。
毎年同じような趣向で行われるので、特に目新しいことはないのだが、展示されたものはどれも隙のない美しさを湛えていた。
このように美しさに定評のある花を句に詠むのはかえって難しく、今回も苦しまぎれの駄洒落句となった。「菊花展」「菊」ともに秋の季語。
ところで、菊にもいろいろな種類があるが、どう分類されているのか。その概要をかつて記事にしたことがあるが、参考まで再掲したい。
まず、菊と野菊の関係だが、菊は、中国で作出されたものが伝来したもので、野菊に対し家菊とも言う。一方野菊は、野生で菊に似た花を咲かせるものの総称。
*大菊三本仕立て次に、菊については、大きく「和菊」と「洋菊」に分けられる。更に「和菊」の方は、咲く時期によって、「夏菊(6月~8月)」「秋菊(9月~11月)」「寒菊(12月~1月)」に分けられる。注:括弧書は開花時期
また、咲き方により、「厚物咲き」「丁子咲き」「管物咲き(くだもの)」に分けられる。
*小菊懸崖仕立て菊の仕立て方にもいろいろあるが、菊花展で見られる代表的なものは以下の通り。、
《大菊三本仕立て》 … 一つの苗から三つの大菊(18cm以上)を咲かせる。
《福助仕立て》 … 草丈50cm以下の大菊一本仕立て。名前は福助人形の連想から。
《小菊懸崖仕立て》 … 樹の先端部分が鉢縁よりも下にあるもの。
《小菊盆栽仕立て》 … 樹木を使った盆栽の姿を小菊で再現したもの。
尚、「洋菊」は、現在日本にもたくさん流入し、横文字(カタカナ)名の菊であふれており、いろいろな分類方法があるようだが、ややこしいので割愛する。
【関連句】
① 大菊の手塩にかけて美しき
② 大輪を凌ぐ小菊の花の団
③ すさまじき懸崖という菊の張り
② 大輪を凌ぐ小菊の花の団
③ すさまじき懸崖という菊の張り
②は、小菊は大菊に比べて一つ一つでは見劣りするが、それが群れて咲く様には、大菊をも凌ぐほどの艶やかさがあることを詠んだ。
③は、「懸崖菊」を見て詠んだ句。これは、断崖絶壁にしがみつくように生きる生命力のたくましさなどを表しているとも言われている。
③は、「懸崖菊」を見て詠んだ句。これは、断崖絶壁にしがみつくように生きる生命力のたくましさなどを表しているとも言われている。
*小菊盆栽仕立てところで日本の国花といえば菊、それとも桜? 実のところ、法律で定めた国花はないそうだ。しかし、桜は、日本人に最も親しまれている花で、菊は皇室の紋章にもなっている花。だから両方とも実質上の国花といっても良いだろう。
記事が予定以上に長くなったので、参考句は割愛する。