■ 春が来て中途半端に霙かな
( はるがきて ちゅうとはんぱに みぞれかな )
今日も昨日に続き雪の話題だが、先週の土曜日に降った雪は、雪と言っても霙(みぞれ)だった。普通の雪であれば、衣服についても払えば落ちるが、霙の場合はそうはいかない。雨が混じっているから衣服に浸み、しかも冷たい。普通の雨であれば、傘をさせばそのまま流れるが、雪が混じっているのですんなり流れず、しかも重い。
ところで、「みぞれ」の語源についてだが、調べてみると、「みだれ雪」、「水っぽい雪」などから転訛したのではないかという説があったが定かでない。
一方、「霙」という漢字は、「英」に「はな、はなぶさ」という意味があり、「雨と雪が混ざって花びらのように降るもの」を表しているという説があった。霙が花びらのように降るという感じはあまりしないので、この説明も些か中途半端に思える。
ことのついでに、今回は雨冠の漢字で気象などに関連するものをピックアップしてみた。
【雨冠の漢字】
雲:くも、ウン 霧:きり、ム 霞:かすみ、カ 靄:もや、アイ 雷:かみなり、ライ
雪:ゆき、セツ 霙:みぞれ、エイ 霰:あられ、サン 雹:ひょう、ハク
露:つゆ、ロ 霜:しも、ソウ 雫:しずく、ダ 零:こぼ(れる)、レイ
雪:ゆき、セツ 霙:みぞれ、エイ 霰:あられ、サン 雹:ひょう、ハク
露:つゆ、ロ 霜:しも、ソウ 雫:しずく、ダ 零:こぼ(れる)、レイ
こう並べてみると、いずれの漢字にも趣がある。こういう表語(表意)文字の感覚は、アルファベットなど表音文字では味わえない感覚であり、改めて漢字を発明した古代中国人、それを今日まで継承した日本人に敬意を表したい。(この終わり方も少し中途半端か・・・?)
【春霙の参考句】
もろもろの木に降る春の霙かな (原石鼎)
春みぞれ舟屋そびらの家紋かな (能村研三) *そびら(背):背中
限りなく何か喪ふ春みぞれ (山田みづえ)
鹿の斑のまだ見えてをり春霙 (柚木紀子)
春みぞれ囚徒のごとく電車待つ (上谷昌憲)
もろもろの木に降る春の霙かな (原石鼎)
春みぞれ舟屋そびらの家紋かな (能村研三) *そびら(背):背中
限りなく何か喪ふ春みぞれ (山田みづえ)
鹿の斑のまだ見えてをり春霙 (柚木紀子)
春みぞれ囚徒のごとく電車待つ (上谷昌憲)