■ 合歓咲けばバブルの夢を思い出す
( ねむさけば ばぶるのゆめを おもいだす )
この花は、名前の「ねむ」という語感とピンクの花の色から、いろいろを想像を掻き立てる。今回はふとバブル期にテレビで見た「ジュリアナ東京」の女性達を思い出した。
「ジュリアナ東京」とは、当時流行った六本木界隈のディスコのことで、ボディコンというファッションで身を固めた女性が「お立ち台」で大きな扇を持って踊る。
その様子が、何度もテレビで放映されたから強烈に印象に残っており、その時に見たピンク色の扇が合歓の花と重なり、本日の掲句となった。「合歓咲く」は「合歓の花」「花合歓」とともに夏の季語。
*お立ち台の女性たち(ネットより)
その当時何をしていたのか、はっきりとは思い出せないが、毎年給料が上がるのが当たり前で、結構わくわくした時代であったことは間違いない。
話は戻って、「合歓の花」に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。
【関連句】
① くすぐれば夢にほほ笑む合歓の花
② 覚めざるを願う夢みし合歓の花
③ 合歓の花天女のかざす扇とも
①は、乳飲み子が、母親に抱かれてぐっすりと眠っている様子をイメージしたもの。「ねむ」という言葉には、親が幼児をあやすような響きがある。
②は、夢の中で、覚めないで欲しいと願ったが、覚めてしまったという体験を詠んだ句。
③は、合歓の花を天女がかざす扇に例えて詠んだもの。
花期は6~8月。一つの花に見えるものは、小さな花が10~20個集まったもので、薄紅色の糸のような部分は長く伸びた雄蕊である。別名でネム、ネブともいう。
【合歓の花の参考句】
湯煙の消えてほのかや合歓の花 (高浜虚子)
どの谷も合歓のあかりや雨の中 (角川源義)
花合歓に夕日旅人はとどまらず (大野林火)
松島は合歓の花さへ松隠り (鈴木鷹夫)
象潟やけふの雨降る合歓の花 (細川加賀)