■ 細やかに空地彩る小米詰草
( こまやかに あきちいろどる こごめつめくさ )
4月ごろから野原に白い花を咲かせる草花で、四つ葉のクローバーを見つけると幸運がやってくると言われている。
更に、川辺などには赤い花を咲かせる「赤詰草(あかつめくさ)」もよく見かけるが、今が丁度盛りを迎えているようである。
ところで、詰草と呼ばれるものに「小米詰草(こごめつめくさ)」という草花があることはご存じだろうか。多分どこかでご覧になっていると思うが、名前は知らないという人が多いのではないだろうか。
この詰草は、白、赤の詰草よりも花が小さく、名前の通り米粒くらいの大きさの黄色い花をつける。
非常に繁殖力が強く、空地などがあれば、それを覆うように増殖していく。花が小さいのでしっかり見ないと分からないが、いつの間にか一面が黄色に彩られる。
本日の掲句は、そんな草花を見て詠んだ句である。「小米詰草」は正式には「米粒詰草(こめつぶつめくさ)」呼ばれているようだが、その語感から本句では前者を使用した。
尚、「小米詰草」は季語になっていないようだが、白詰草が春の季語なので、本句では、それに準じるものとする。
米粒詰草(小米詰草)は、マメ科シャジクソウ属の1年草。ヨーロッパから西アジアが原産。日本には明治末期に渡来。花期は4月から7月。既述の通り、黄色い米粒のような花を咲かせる。
和名は、シロツメクサに似ているが全体に小さいことに由来する。黄花詰草(きばなつめくさ)ともいう。
米粒詰草(小米詰草)を詠まれた句はほとんどないので、以下には過去に「白詰草」と「赤詰草」を詠んだ過去句と写真を掲載する。
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【白詰草】
白詰草の褥に寝れば雲一朶
*褥(しとね):座る時や寝る時に下に敷く物。
*一朶(いちだ):ひとかたまり。
白詰草は、マメ科シャジクソウ属の多年草で原産地はヨーロッパ。日本には明治時代以降、家畜の飼料用として導入されたものが野生化した。花は白色で、葉の柄よりやや長い花茎の先につく。花期は4月~8月。
詰草の名称はオランダ船の荷物(ガラス製品)の詰め物(緩衝材)として使われたことに由来する。別名にクローバーがあるが、普通3枚の複葉のところ、時に4枚のものがあり「四つ葉のクローバー」として珍重される。
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【赤詰草】
赤白の詰草いきれ梅雨晴間
*中七の「詰草生きれ」は、「詰草」と「草いきれ」を合成し短縮した私的造語。「草いきれ」とは、「夏草の茂みから発生するむっとする熱気」のことで夏の季語。
赤詰草は、白詰草と同科同属の多年草でヨーロッパ、西アジア原産。白詰草と同時期の明治時代に牧草として渡来。葉っぱのすぐ上にピンクの花を咲かす。花期は5月~9月。白詰草よりも少し遅く咲く。別名は「紫詰草」「赤クローバー」。
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