■花屑の上や花韮咲き誇る
( はなにらの うえや はなにら さきホコる )
ただ、散った桜の花びらを敷物のようにして咲いている花がある。それが、今日取り上げる「花韮(はなにら)」である。
この花は、桜の開花と同じ時期に咲くが、桜が咲いている時はあまり注目されない。しかし、桜が散った後もしばらく可憐な姿を見せてくれている。
本日の掲句は、そんな様子を詠んだものである。
「花屑」は散り落ちた桜の花びらのことで春の季語。「花韮」も春の季語だが敢えて句重なりとした。
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因みに、「花韮」に関しては過去にも何句か詠んでいる。
【関連句】
① 桜にも負けじと花韮群れ咲きぬ
② 桜散り地は花韮の盛りかな
【関連句】
① 桜にも負けじと花韮群れ咲きぬ
② 桜散り地は花韮の盛りかな
①は、満開に咲いている桜の樹下で群生している花韮を見て詠んだ句。まるで桜と競っているがごとく咲いていた。
②は、桜が散った後も、その下で群れ咲いている花韮を見て詠んだ句。特に韻律(リズム)を重視した。本日の掲句と着想は類似。
①も②も桜と対比させて詠んだ句だが、詠んだタイミングが若干違う。
花韮は、ヒガンバナ科ハナニラ属(古い分類でユリ科とも)の多年草で南アメリカ原産。日本には、明治時代に園芸植物(観賞用)として渡来。花期は、2月中旬~5月中旬。花は六弁で色には白の他に薄紫色がある。
名前は、葉が韮に似ており、ちぎると韮特有の匂いがすることから付けられたとのこと。別名に西洋甘菜(せいようあまな)がある。
尚、野菜の「韮」は、ネギ科ネギ属で、花は秋に咲くがほとんど似ていない。また、食用として「花韮」というものがあるが、これも全く別のもの。本稿の花韮は有毒で、食べると中毒になるとのこと。
「花韮」は身近な草花だが詠まれた句は意外と少ない。以下には、ネットで見つけた句をいくつか掲載した。
【花韮の参考句】
花韮や歩いて行けば猫神社 (星野麥丘人)
花韮の花賞でらるるそよぎかな (宮津昭彦)
花韮の風の弾めりヘリポート (毛塚静枝)
花韮の紫うすき翳りかな (岸典子)
花韮のはかなきまでに白き日々 (中嶋秀子)
花韮や歩いて行けば猫神社 (星野麥丘人)
花韮の花賞でらるるそよぎかな (宮津昭彦)
花韮の風の弾めりヘリポート (毛塚静枝)
花韮の紫うすき翳りかな (岸典子)
花韮のはかなきまでに白き日々 (中嶋秀子)