■ 川べりに雪帽被る枯紫陽花
( かわべりに ゆきぼうかぶる かれあじさい)
中でも、枯紫陽花(かれあじさい)に積もった雪は、暖かい綿帽子のようでもあった。本日の掲句は、そんな様子を詠んだ句である。季語は「雪帽(子)」(冬)。
ところで、「枯」が付いた季語は下記のようにたくさんあるが、この「枯紫陽花」は、何故か季語にはなっていない。
「枯」のついた季語
枯芙蓉、枯尾花(枯芒)、枯蓮、枯芝、
枯柳、枯菊、枯芭蕉、枯草、枯萩 他
その理由について明確に記載している文献は見つからなかったが、推察するに、紫陽花は盛りを過ぎ色あせても、様々な変化を見せるからだろう。
まず、梅雨が終わるころに色が褪せてきて、晩夏から秋にかけて緑色に変色する。(下写真左)更に秋中頃から晩秋にかけて赤く変色し(下写真右)、冬の初めには茶色に変色し、その後ドライフラワー状態になり、ものによっては夏まで残る。(最後尾の写真)
*紫陽花の通常の花色は、その土壌によって違い、酸性にすれば青色に、中性から弱アルカリ性ではピンク色になると言われている。しかし、花の色が落ちた後に緑や赤に変化するのは、その原理とは違い、花の色素が少しずつ分解されて起こるもの。赤くなるのは紅葉と原理的には同じで、老化現象の一種だとのこと。より詳しいことは、専門的になるので割愛する。
【関連句】
① 長梅雨も終わりに近し枯紫陽花 (7月中旬)
② 秋思かな枯紫陽花に赤みさす (10月下旬)
③ 冬川に面影残し枯紫陽花 (1月中旬)
②は、色を落として緑色に変色した紫陽花に、赤味がさした様子を詠んだもの。
③は、川べりに花姿を残したまま、茶色に枯れた紫陽花を見て詠んだ句。