■ 木蓮の花芽毛皮の冬構え
( もくれんの はなめ けがわの ふゆがまえ )
今近隣では、冬の寒さを凌ぐため冬芽(ふゆめ、とうが)を形成し、じっと耐えている木々の姿をよく見かける。特に、木蓮などは、毛皮のようなもので芽を覆いしっかりと身を守っている。掲句はそんな様子を見て詠んだ句である。季語は「冬構え」で季は冬。
【関連句】
① 枯れ枝の生きる証か冬芽見ゆ
② ぎっしりと冬芽春満開を期し
①は、すっかり葉を落とした枯枝についている冬芽を見て詠んだ句である。枯枝は枯れて死んでしまったのではなく、しっかりと生きている。②は、桜の木全体についている冬芽を見て、春の満開を期している桜の逞しさを詠んだ。
ところで、冬芽に関し子細に見れば、実に様々な形のものがあることに気づく。そこで、少し冬芽に関する基本事項を以下に整理してみた。
●冬芽とは
晩夏から秋に形成され、休眠・越冬して、春に葉や花になる芽。
●冬芽の種類
・葉芽(はめ、ようが) … 発達して葉や茎になる芽。
・花芽(はなめ、かが) … 将来的に花になる芽。
・混芽(こんが) … 花と葉の両方が入っている芽。
●冬芽のタイプ
・鱗芽(りんが):鱗片(りんぺん)という硬い殻で覆われているもの
>魚の鱗状のもの … サクラ、ケヤキ、シラカシなど
>毛で覆われたもの … モクレン、コブシ、ホウノキなど
・裸芽(らが):鱗片に覆われていないもの … アジサイ、フヨウなど
・隠芽(いんが):葉痕や樹皮の中に隠れているもの …プラタナス、ネムノキなど
【冬芽の参考句】
見舞いきて冬芽潤ふ満月下 (大野林火)
神の芽やあかねにけぶる冬木の芽 (角川源義)
たっぷりと冬芽や四十五本の木 (宇多喜代子)
青空や今日も確かな冬芽嵌む (林翔)
待つといふこと美しき冬芽かな (丸山敏幸)
見舞いきて冬芽潤ふ満月下 (大野林火)
神の芽やあかねにけぶる冬木の芽 (角川源義)
たっぷりと冬芽や四十五本の木 (宇多喜代子)
青空や今日も確かな冬芽嵌む (林翔)
待つといふこと美しき冬芽かな (丸山敏幸)