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Channel: 写真・俳句ブログ:犬の散歩道
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ふり向けば夕日に浮かぶ新松子

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■ ふり向けば夕日に浮かぶ新松子  
                                             ( ふりむけば ゆうひにうかぶ しんちぢり )

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俳句をやり始めてから時々面白い言葉に出会うことがある。今日取り上げる「新松子」もその一つ。

これを何と読むか。「しんまつこ」「あらたまつこ」。ひょっとして女優の名前と思われた方もいるかも知れない。

答えは「しんちぢり」。どうやら「新松子」は当て字らしい。こういう漢字の読みは覚えるしかないが、何度覚えても、韓国料理のチヂミを思い出し「しんちぢみ」と間違うことがある。

それでは、この「しんちぢり」なるものは何なのか。それは漢字の「新松子」を見直してもらえば想像がつく。すなわち、新しい松の子、ずばり今年できた松毬(まつかさ)のことである。

尚、松毬はふるくから「ちちり」「ちちりん」と呼ばれており、そこから「ちぢり」が来ているようだ。その語源についても知れべて見たがよく分からなかった。

話の序に言えば、松毬を「松ぼっくり」というが、この「ぼっくり」とは「ふぐり」が転訛したものがそうだ。「ふぐり」とは「犬ふぐり」の「ふぐり」と同じで「陰嚢(いんのう)」のこと。ただ、「ふぐり」から「ぼっくり」への転訛がどうもイメージできない。

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前書きがかなり長くなったが、本日の掲句は、その新松子が夕日にあったって赤味を帯びて浮きたっている様子を詠んだものである。「新松子」は秋の季語。

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松は、マツ科マツ属の常緑針葉樹。赤道直下から北極圏まで、北半球の広い範囲に分布する。

花期は4月~5月。花は雌雄同株で、長い芯の下の方に葡萄の房のような雄花をつけ、芯の先に雌花を咲かせる。そして、半年ほどかけて新しい松毬=新松子を形成する。

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この松毬の中には、種子が詰まっていて、2年をかけて成熟す。だから、今は古い松毬と新しいものが同居している。

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余談だが、英語の "pineapple" (パイナップル、パインアップル)は、本来は「松の果実」という名前の通り松かさのことであったが、後に松かさに似た別の果物、すなわち現在のパイナップルを指すようになったとのこと。(この場合の“apple”は、リンゴではなく単に果実を意味する)。(Wikipediaより引用)
*現在の英語では松毬のことを「pinecone」という。

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「新松子」を詠んだ句はままあり、以下のネットで見つけたいくつかの句を参考まで掲載した。

【新松子の参考句】
潮騒に勝る松風新松子 (伊丹三樹彦)
新松子濡れて狐の嫁入りぞ (佐々木六戈)
新松子掠めて飛べるヘリコプター (高澤良一)
白浜や藻屑の中に新松子 (川崎展宏)
新松子山脈に雲遼かなり (星野麥丘人)

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