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Channel: 写真・俳句ブログ:犬の散歩道
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風吹けばカリンカリンと花梨の実

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■ 風吹けばカリンカリンと花梨の実 
                                          ( かぜふけば かりんかりんと かりんのみ )

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昨日は、台風一過の翌日で朝から青空が見えていた。

久しぶりに清々しい天候であり、昼から我が吟行スポットの一つである「京都御苑」に行ってきた。

苑内には、マツ、ケヤキ、シイ・カシ類など約5万本の樹木が生育しているそうだが、今回の台風によるの被害はどうだったのか。

ざっと見た限りは、何本かの低高木が倒れていたが、それほど大きな被害はなかったようだ。

その後、何か花が咲いていないか苑内を散策したが、それらしきものは全く見られなかった。

ただ、何か所かで花梨(かりん)の実がたわわに実っているのに出会った。

本日の掲句は、その時の様子を詠んだ句。
中七の「カリンカリン」は花梨にかけた擬態語だが、そんな音も聞こえてきそうな感じだった。

尚、「花梨(榠樝とも書く)」「花梨の実」は秋の季語。「花梨の花」「花かりん」は春の季語。


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因みに、「花梨の実」に関しては、過去に以下の句を詠んだいる。

   【関連句】
    ① 不揃いの花梨虚空に揺れてあり
    ② 細枝にカリンカカリンカ花梨なる


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①は、林檎(りんご)ぐらいの大きさの果実が、小高い木に不揃いに生っているのを見て詠んだ句。鈍色(にぶいろ)の空をバックに揺れていた。上五はTVドラマ「不揃いの林檎たち」からの引用。
②は、ロシア民謡「カリンカ」の最初のフレーズ「カリンカ カリンカ カリンカ マヤ」にかけて詠んだ句。かつては「カカリン カカリン カカリン カマヤ」と口ずさんでいた。


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花梨の花の方は、その実とは似ても似つかず、非常に可憐な感じの花である。その印象をそのまま詠んだのが以下の句。

   
初に見る花梨の花は可憐にて

*花梨の花:4月中旬に撮影

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花梨は、バラ科ボケ属の落葉高木で、原産地は中国東部。日本には1000年以上前に渡来したとのこと。花期は、4月~5月頃で、花は、同じ属の木瓜(ぼけ)に似ている。

果実は、10月~11月に結実。一見、洋梨(ようなし)のようで、うまそうにも見えるが、かなり堅くて酸味も強く、そのままでは食べれないとのこと。もっぱら、蜂蜜漬けやジャム、花梨酒などに加工して食されるそうだ。

語呂合わせで「金は貸すが借りない」の縁起を担ぎ、庭の表にカリン=「借りん」を植え、裏にカシノキ=「貸しの木」を植えると商売繁盛に良いと言われているとのこと。


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「花梨の実」に関する句はままあり、その内のいくつかを選んで以下に掲載した。(過去に掲載したものを除く。)

    【花梨(かりん)の参考句】
     何仰ぐ亀かと見ればかりん熟れ    (大島民郎)
     己が重さとたたかふかりん風荒ぶ   (鈴木鷹夫)
     諏訪びとは花梨の実です不揃いです (宮坂秀子)
     おのが香を庭に放ちてかりん熟れ   (金子伊昔紅)
     かりん垂れ片蔭沿ひに婆の杖      (細川加賀)

*花梨の実を割ったもの。木のように堅い。
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