■ 傾けど花を絶やさぬ泡立草
( かたむけど はなをたやさぬ あわだちそう )
先日来、川辺の地味な花を取り上げてきたが、この草花は、黄金色の花を穂状につけ、広範囲にわたって繁茂すると真に華やかである。
ただ、先日見た時は、背の高いものがあまり見られず、繁茂する密度も薄くなっており、やや勢いが衰えてきているという印象だった。
また、比較的背の高いものも、風にあおられたせいか、傾いているものも結構見られた。ただ、そういう状況下でも懸命に花を咲かせているのが印象的だった。
本日の掲句は、そんな状況を見て詠んだ句である。「背高泡立草」は秋の季語だが、名前が長いので「泡立草」と短縮することが多い。
因みに、「(背高)泡立草」に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。
【関連句】
① 草叢に未だ背は低き泡立草
② 背高でいかす黄色の泡立草
③ 背高を芒と競う泡立草
②は、秋の野にあって、背が高くていかした感じの、黄色い花を咲かす草花として詠んだ。「いかす」とは、1960年代に「かっこいい」という意味で、石原裕次郎が使った流行語。
③は、背高泡立草が芒と鎬(しのぎ)を削るように繁茂している様子を詠んだ句。一頃は川辺を席巻する勢いだったが、最近はやや勢いが衰えている感じである。
【(背高)泡立草の参考句】
衆恃むごとく泡立草咲きぬ (岸風三樓)
真白な外車を囲み泡立草 (頓宮れい)
安達太良の天へ丈なす泡立草 (三枝青雲)
泡立草 ぼんやり灯る 武家屋敷 (伊丹公子)
万葉の丘に鉾立つ泡立草 (塩川雄三)