■ 青鷺の佇むあたり破れ蓮
( あおさぎの たたずむあたり やれはちす )
この鳥は、近辺でも年中みられる留鳥(とめちょう)で、鴨川などの川辺だけでなく、寺社などの池辺でもよく見かける。
群れることをあまり好まないのか、1羽だけでじっと佇んでいることが多い。
その風貌は、何かを思案している仙人、あるいは修行僧などを彷彿とさせる。
本日の掲句は、その青鷺が、葉が枯れてきた蓮の池に佇んでいるのを見て詠んだ句。秋の深まりを感じさせる風景として詠んだ。
ところで、年中みられる鳥でも季語になっているものが多くあり、「青鷺」も夏の季語になっている。
繁殖期が夏であるというのが、その理由のようだが、秋や冬にも目にすることが多く、季語になっていることが却って煩わしく感じることもある。
尚、掲句では、「破れ蓮」が秋の季語であり、こちらの方が強い季語として意識されるので、秋の句として成立するものと思うがどうだろう。
*破れ蓮(やれはす、やれはちす)とは、葉の破れたハスのこと。敗荷とも書く。それが、すっかり枯れてしまうと枯れ蓮(かれはす、かれはちす)と言い冬の季語になる。
因みに、「青鷺」に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。
【関連句】
① 青鷺の何を思案の寒の川
② 冬川に仙人のごと青鷺
③ 着ぶくれて不動の青鷺見ていたり
①は、ある川の中洲で、何かを思案するように佇んでいる青鷺を見て詠んだ句。
②は、冬川のほとりで仙人のようにじっと立っている様子を詠んだ句。
③は、②と同時に詠んだ句で、厚着して岸辺から青鷺を眺めている自分のことを詠んだ。
青鷺は、鷺の一種で、河川、湖、池沼等に生息し、魚やカエル、ザリガニ、昆虫などを捕食する。
巣は高木性の樹の上に設け、コロニー(同一種の生物が形成する集団)を形成するが、非繁殖期には単独で生活することが多い。青鷺というが、全体的に青というよりも青灰色で「蒼鷺」とも書く。
青鷺は比較的よく見られる鳥のせいか、俳句にもよく詠まれている。以前に何句か紹介したこともあるが、以下には、それ以外のものを掲載した。
【青鷺の参考句】
青鷺と青嶺動かず千曲川 (堀口星眠)
青鷺のみじんも媚びず二夜経ぬ (殿村菟絲子)
青鷺の遊行のかほを愛すべし (黒田杏子)
青鷺の首納まりて静まりぬ (綾部仁喜)
青鷺のみじろぎもせぬ雨の杭 (岩佐政子)
青鷺のみじんも媚びず二夜経ぬ (殿村菟絲子)
青鷺の遊行のかほを愛すべし (黒田杏子)
青鷺の首納まりて静まりぬ (綾部仁喜)
青鷺のみじろぎもせぬ雨の杭 (岩佐政子)