■ 白銀に靡く芒の河原かな
( しろがねに なびく すすきの かわらかな )
しかし、この芒の花は、尾花(おばな)とも呼ばれ、秋の七草の一つに数えらている。確かに、今頃の芒はすらっとしていて、真に絵になる風情がある。
本日の掲句は、芒の中でも特に美しい白銀の穂をつけた芒を、京都市の街中を流れる鴨川の河原で見て詠んだ句である。
おりしも、川風が北方から川下に向けて吹いていて、その強弱により揺れ動いている様は、何とも言えぬ美しさを醸していた。「芒」は秋の季語。
ところで、「すすき」は漢字で「芒」あるいは「薄」と書くが、「芒」は中国の表記で、「薄」は和製漢字で「くさむら」の字義から使われたとのこと。
いずれも少し違和感を感じて、字源を調べてみたが、それぞれの漢字にはいろいろと異なった意味があり、何故この漢字が当てられたのか明確には分からなかった。
話は俳句に戻るが、「芒」に関する秋の季語としては「花芒」「穂芒」「芒原」などがある。以下には、これらの季語で詠んだ句をいくつか掲載した。
【関連句】
① 穂芒の飄々として逆らわず
② 山路にて月待ちわぶる芒かな
③ シルバーの輝き増せり芒原
①は、ある川岸で、芒が断続的に吹く風に身を任せて揺れている様子を見て詠んだもの。
*飄々(ひょうひょう):風に吹かれてひらひらと向きを変えるさま。
②は、山歩きをした時に道端で見た芒を見て詠んだ句。少し赤味を帯びた芒だったが、皆上を向いていて中秋の名月を待ちわびる風情だった。
③は、やはり鴨川の河原で見た、白銀の芒を見て詠んだ句である。人間の高齢者を表す「シルバー」にかけて詠んでみた。
②は、山歩きをした時に道端で見た芒を見て詠んだ句。少し赤味を帯びた芒だったが、皆上を向いていて中秋の名月を待ちわびる風情だった。
③は、やはり鴨川の河原で見た、白銀の芒を見て詠んだ句である。人間の高齢者を表す「シルバー」にかけて詠んでみた。
芒は、イネ科ススキ属の多年草。原産地は日本、中国などの東アジア。夏に青々と葉が茂り、秋になると茎を真っ直ぐに伸ばし、先端に黄褐色あるいは紫がかった褐色の花穂を出す。花期は7月~10月。
芒はなぜ「すすき」というのか。有力な説としては、「すす」が、葉がまっすぐにすくすく生い立つことを表わし、「き」は芽が萌え出でる意味の 「萌(き)」で、「すすき」となったという説がある。(諸説あり。)
芒(薄)を詠んだ句は多く、これまで何句も取り上げたことがある。以下には、それ以外のものを選んで掲載した。
【芒(薄)の参考句】
金芒ひとかたまり銀芒ひとかたまり (高浜虚子)
ひとむらの芒に消えし旅聖 (角川源義)
芒の穂ばかりに夕日のこりけり (久保田万太郎)
我庭の良夜の薄湧く如し (松本たかし)
解けてはや吹かるる風の花芒 (倉田 紘文)