■ 鬼ヶ城 二句
○ 秋怒涛えぐる巌や鬼ヶ城
( あきどとう えぐるいわおや おにがじょう )
○ 絶壁や秋草もなき鬼ヶ城
( ぜっぺきや あきくさなき おにがじょう )
この地は、三重県熊野市木本町にある海岸景勝地。伊勢志摩から始まるリアス式海岸の南端に位置し、熊野灘の荒波に削られた大小の海蝕洞が約1.2km続く凝灰岩の大岸壁。
数回にわたる急激な地盤の隆起の跡が見られ、崖は階段上になっている。また、波蝕洞の入口はどれも先端が尖り、天井部分には蜂の巣状の風蝕跡が見られ、床面は板のように平らかな棚となっている。
中でも東口にある「千畳敷」は上下2段の大きな岩窟で鬼ヶ城のいちばんの見所。
古くは「鬼岩屋(おにのいわや)」と呼ばれていたが、室町時代に有馬氏が山頂に城を築いてから、現在の名称である「鬼ヶ城」として親しまれている。
2004年(平成16年)には、「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として、ユネスコの世界文化遺産に登録された。
▼千畳敷
この見物の後、一路京都へ向かったが、振り返れば、比較的天候に恵まれ、トラブルもなく快適な旅であった。
た。「怒涛」は、その前に春夏秋冬の季節をつけ、それぞれの季の季語になっている。
【怒涛の参考句】
首伸べて海鵜の遊ぶ冬怒涛 (松崎鉄之介)
隠岐や今木の芽をかこむ怒涛かな (加藤楸邨)
秋怒涛水平線よりたたみくる (田中久仁子)
海猫の巣立つ怒涛の日なりけり (水原秋桜子)
春月を濡らす怒涛や室戸岬 (松本たかし)
▼魔見ヶ島(まみるがとう):鬼ヶ城の沖合約1.5kmに浮かぶ無人島