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Channel: 写真・俳句ブログ:犬の散歩道
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隣家より忍び込みたる貧乏蔓

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■ 隣家より忍び込みたる貧乏蔓 
                                 ( りんかより しのびこみたる びんぼうかずら )

イメージ 1日取り上げる「貧乏蔓(びんぼうかずら)
」というのは、一般的には「薮枯らし(やぶからし)」と言われている。
*貧乏蔓は「びんぼうづる」とも読む。

花は至って地味なので、恐らく、そんな草花は見たことがないという人が多いと思うが、近辺を見渡せばいろいろなところに生育している。

薮枯らしの名前の通り、藪があるところでは、蔓を伸ばして他の植物に覆いかぶさるようにして繁茂し、その植物を枯らしてしまうと言われている

また、藪のないところでも、フェンスなどに絡まって繁茂しているのを時々見かける。

別称の貧乏蔓は、「庭の手入れどころではない貧乏な人の住処に生い茂る」、あるいは「この植物に絡まれた家屋が貧相に見える」などの意味を込めて、そう呼ばれるようになったとのこと。

本日の掲句は、その薮枯らし=貧乏蔓が、隣家から忍び込むように蔓を伸ばし、花を咲かせている様子を見て詠んだ句である。

実は、隣家はずっと空き家になっていて、草も伸び放題になっている。薮枯らしは、この時期になると年々蔓を伸ばし侵入してくる。

尚、薮枯らし(貧乏蔓)は、今頃から花を咲かす植物だが、季語としては秋に分類されている。従って、掲句は秋の句として残しておきたい。


イメージ 2因みに、薮枯らし(貧乏蔓)に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。

   【関連句】
    ① 薮枯らし面(つら)はいかにも薮枯らし
    ② 薮枯らし足長蜂が護衛とは
    ③ 薮枯らし蝶や蜂には人気者



イメージ 3①は、「薮枯らし」を初めて見て、名前を知った時に詠んだ句。まさに名前にあった面(つら)構え?の花だと思った。但し、個々の花は結構可愛い。
②は、我が小庭に侵入しようとしている「薮枯らし」を取り除こうとしたら、足長蜂(あしながばち)が沢山群がっていて取り除くことができなかったことを詠んだ。
③は、とても花には見えない薮枯らしの花に、蝶や蜂が群がっているのを見て詠んだ句。好かれるかどうかは、見かけだけではない。

イメージ 4貧乏蔓こと薮枯らしは、ブドウ科ヤブガラシ属の蔓性植物。(薮は藪とも書く。)花期は6月~8月。茎の先端に、独楽(こま)をひっくり返したような形の5ミリ程度の小さい花が密生して咲く。

朝に開花した時は、花弁と雄蕊が付いているが、それらは昼まで落ちてしまいローソク状の雌蕊だけが残る。それを支える「花盤」は蜜を湛え、オレンジ色からピンク色に変わる。この雌蕊と花盤が、とても可愛いという人もいる。

イメージ 5薮枯らし(貧乏蔓)を詠んだ句はままあり、以下には、ネットで見つけた句をいくつか掲載した。(過去に掲載したものを除く。)

   【薮(藪)枯らしの参考句】
    かくれ逢ふごとくまた逢ふ藪からし  (上田五千石 )
    やぶからしの根の上にわが愛の家  (殿村菟絲子)
    朱の點の花滲みきてやぶからし    (八木林之介)
    藪からし花の傍若無人かな       (上田きよ)
    雑草に掴まり立ちのやぶからし    (高澤良一) 
*雑草(あらくさ)

イメージ 6


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