■ 夏柳ちょっとバテぎみ疲れぎみ
( なつやなぎ ちょっとばてぎみ つかれぎみ )
ところで、今は梅雨時なのだが、近辺では一時的に雷を伴った豪雨が降るものの直ぐに止むことが多い。
ただ、湿気だけは半端でなく、連日ムシムシするのには閉口する。本日の掲句は、その心境を詠んだもの。「夏柳」は夏の季語。
尚、「柳」は単独では春の季語になるが、身近な植物でもあることから、夏には「葉柳」、秋には「柳散る」、冬には「枯柳」などの季語がある。
写真は、京都東山の麓を流れる白川の枝垂柳並木。真に涼しげな風情ある景観だが、風がないと少し暑苦しい感じがする。
因みに「夏柳」では、昨年以下の句を詠んだ。
幽霊も今は昔の夏柳
昔から、柳に幽霊はつきものだが、最近出たという噂は全く聞かない。もうとっくに絶滅してしまったのだろうか。もっとも最近は妖怪の方が幅を利かせているようだが。
柳は、ヤナギ科ヤナギ属の樹木の総称だが、一般的には枝垂柳をさす。原産地は中国で、奈良時代に渡来したとのこと。古くから庭園樹や街路樹としてよく用いられており、これを題材とした歌や詩も多い。
柳の語源については、この木で矢を作ったので「矢の木」といい、 「やのき」→「やなぎ」へと変化したとする説が有力だが異説も多い。、枝垂柳は、別名で「糸柳(いとやなぎ)」ともいう。
「柳」に関しては非常にたくさんの句が詠まれているが、以下には特に「夏柳」で詠んだ句をいくつか掲載した。
【夏柳の参考句】
夏柳異人の館灯ともれり (正岡子規)
軋りいづ馬車や雨降る夏柳 (水原秋櫻子)
水にひく葉のよごれをり夏柳 (高野素十)
どの岸も子等が現はれ夏柳 (中村汀女)
江戸城址雀こもらす夏柳 (村田脩)