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Channel: 写真・俳句ブログ:犬の散歩道
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楠若葉つくるドームの闇深し

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■ 楠若葉つくるドームの闇深し
                               ( くすわかば つくるどーむの やみふかし )

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今日あたりから、若干雨が降るらしく、少しは梅雨らしくなるようだ。

さて、本日は、1週間ほど前に行った植物園の楠(くすのき)並木について取り上げたい。

この並木の楠は、開園当初から植えられており、ほとんどが樹齢90年を超え、樹高はおよそ20m。その大木が約90本、東西200メートルに植えられている。

特に今頃は、新しく生い茂った若葉が細長いドームを形成し、よく晴れた日などは一段と影が濃くなり、深い闇を形成する。

本日の掲句は、そんな情景を詠んだ句である。下五の「闇深し」は些か大袈裟な表現だが、「木下闇」という言葉があるので、敢えて使ってみた。「楠若葉」は「樟若葉」とも書き、夏の季語。

【木下闇(こしたやみ、このしたやみ)】
木の枝葉が茂って日光が遮られたため、樹下がほの暗いこと。また、その所。夏の季語。

因みに、「楠若葉」に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。

    くすくすと風も笑うよ楠若葉

これは、楠並木の若葉が風に吹かれているの見て詠んだ句。上五の「くすくすと」は語呂合わせで使った言葉だが、まさにそんな風情だった。


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楠(樟)は、クスノキ科ニッケイ属の常緑広葉樹。台湾、ベトナムなどの暖地に生息し、それらの地域から日本に進出したとされている。(史前帰化植物)

初夏に大量に落葉すると同時に緑の若葉が湧き立つように生えてくる。葉は革質で光沢があり、若葉の中でも独特な美しさがある。花期は5月から6月で、白く淡い黄緑色の小さな花を咲かすが、あまり見栄えがしない。(最後の写真参照)


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楠は、日本の樹木の中で、最も巨大で長寿を保つ。そのためか、神社では、ご神木として人々の信仰の対象とされる。

因みに日本で一番大きな楠は、鹿児島県の蒲生八幡神社境内にそびえ立つ大楠で、樹齢約1,500年、根周り33.5メートル、目通り幹囲24.22メートル、高さ約30メートルあるそうだ。


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名前については、全体的に特異な芳香を持つことから、「臭し(くすし)」が語源となったとする説、樟脳(しょうのう)を作る材料にもなるので、「薬(くすり)の木」が語源となったという説などがある。

【樟脳】 クスノキの枝葉を蒸留して得られる無色透明の固体のことで、防虫剤や医薬品等に使用される。カンフル注射のカンフルはこの樟脳を指している。


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楠若葉(樟若葉)を詠んだ句はままある。以下には、そのいくつかを参考まで掲載した。(過去に掲載したものは除く。)

   【楠若葉、樟若葉の参考句】
    楠若葉大樹は常に風を抱き   (朝倉和江)
    照り合うて拝殿おほふ楠若葉  (高澤良一)
    城垣の石がせり出す楠若葉   (清水弓月)
    大雨が洗ふ札所の樟若葉    (新田祐久)
    流鏑馬の二の矢当らず楠若葉 (相沢須磨子)

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