■ 初恋の甘き思い出チューリップ
( はつこいの あまきおもいで ちゅーりっぷ )
この時期になると、行く度に植物園の様相は一変し、桜は丁度満開になっていた。その他で特に目立った物と言えは、花壇に植えられたチューリップ。
前回来たときは、地表に葉っぱだけ出していたが、今回はほとんどのものが茎を伸ばし、カップ状の花を咲かせていた。
本日の掲句は、そんなチューリップを見て詠んだ句である。但し、最初に浮かんだのは以下の句。
たまらなく甘きひびきやチューリップ
チューリップを分解したら、「チュー」と「リップ(唇)」になるが、何とも艶っぽい響きではないか。
ただ、この句は花名からの連想を表現しただけで俳句らしくない。そんな訳で、掲句のように詠み直した。チューリップは春の季語。
尚、念のためチューリップの語源を調べると、トルコ語で頭巾(ターバン)を意味する「tulipan(tulbend)に由来するとのこと。どうも「チュー」+「リップ」ではなさそうだ。
因みに、「チューリップ」に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。
【関連句】
① チューリップ並んで咲けば懐かしき
② 幼子の歌口ずさみチューリップ
③ チューリップ響きも楽し花の苑
①及び②は、小学校で歌った「チューリップ」という童謡を思い出して詠んだ句。
③は、チューリップという名前の語感に着目して詠んだ句。本日の掲句の元になった。
チューリップは、ユリ科チューリップ属の植物で原産地はトルコのアナトリア地方とされている。江戸時代後期に日本に渡来。花弁の形、咲き方、色などが異なる多様な園芸品種が数百品種あると言われている。
生産地ではオランダが非常に有名。日本では、富山県や新潟県で大規模な栽培が行われており、両県を合わせた球根生産での国内シェアは98%(富山県53%、新潟県45%)だとのこと。
「チューリップ」を詠んだ句は結構あり、本ブログでも何句か紹介したことがあるが、以下ではそれ以外の物お選定し掲載した。
【チューリップの参考句】
それぞれにうかぶ宙ありチューリップ (皆吉爽雨)
ぽかり真っ黄ぽかりと真っ赤チューリップ (松本たかし)
チューリップゆらゆらものを思ふ朝 (石原八束)
赤し赤し陽を喰べ飽きてチューリップ (長谷川秋子)
チューリップゆらゆらものを思ふ朝 (石原八束)
赤し赤し陽を喰べ飽きてチューリップ (長谷川秋子)
一列にちゃんと並べりチューリップ (さざなみやつこ)
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