■ 塀越しに陽気ふりまくミモザかな
( へいごしに ようきふりまく みもざかな )
特に今頃は、黄色い花も多く咲き始めるが、その先駆けのように「ミモザ」が方々で見られるようになってきた。
本日の掲句は、そんなミモザが、ある家の塀越しに咲いているのを見て詠んだ句。丸い小花を房状に咲かせる姿は、春の陽気を辺りにふりまいている様である。
ところで、この「ミモザ」は、正式には「銀葉(ぎんよう)アカシア)」という。だから、「アカシア」と言っても間違いではない。
しかし、この「アカシア」は、かつて西田佐知子が歌った「アカシアの雨がやむとき」に出てくるものとは全く違うものである。
歌に出てくる「アカシア」は、街路樹としても植えられている「ハリエンジュ(針槐)」のことで、それが明治初期に日本に渡来した時に誤用されてそう呼ばれた。
しかし、その後に銀葉アカシアなどの本物の「アカシア」が日本に渡来した時に間違いだと気づき、「ハリエンジュ」の方は「ニセ(偽)アカシア」に変更された。ただ、歌が有名なので、「アカシア」でないと言っても通用せず、「ニセアカシア」はその後も「アカシア」と呼称され続けている。
俳句の世界でも同様に混乱があるが、「銀葉アカシア」などの「アカシア」は「ミモザの花」「花ミモザ」として春の季語、「ニセアカシア=ハリエンジュ」は従前通り「アカシア」として夏の季語になっている。
街角をくすぐるようにミモザ咲く
「ミモザ」こと「銀葉アカシア」は、マメ科アカシア属の常緑性小高木。 原産地はオーストラリア。日本には明治末期に渡来。花期は3月~4月。
銀色がかった色の葉と、枝垂(しだ)れた枝いっぱいに咲かせる丸くて小さな小花が特長で、花の盛りの時期には樹全体が黄色に染まり、周囲の雰囲気を明るくしてくれる。
別名に、ハナアカシア、ミモザアカシアなどがある。また、近縁種に「房(フサ)アカシア」などがある。
「ミモザ」を詠んだ句に関しては、以前いくつか掲載したことがあるが、今回はそれ以外のものを選んで掲載した。
【ミモザの参考句】
ミモザ咲き磯横ざまに奔る波 (水原秋櫻子)
花ミモザ雨雲ながら夜明けたり (宮津昭彦)
ゆらゆらの花のミモザとくらくらす (池田澄子)
結構なミモザと云ひて仰ぎをり (高澤良一)
ミモザ咲く潮風ゆるき坂の町 (岡田公子)
花ミモザ雨雲ながら夜明けたり (宮津昭彦)
ゆらゆらの花のミモザとくらくらす (池田澄子)
結構なミモザと云ひて仰ぎをり (高澤良一)
ミモザ咲く潮風ゆるき坂の町 (岡田公子)