■ これがあの雪割る花か雪割草
( これがあの ゆきわるはなか ゆきわりそう )
山野を模した花壇には、様々な色、形の雪割草が植えてあって、真に華やかな光景だった。
「雪割草」という名前は、ずっと以前から知っているが、「雪を割る」という意味合いから厳つい(いかつい)花のイメージを持っていた。しかし実物はそうではなかった。
山野で自生しているのを未だ見たことはないが、雪が解けだした山野に、様々な色、形の雪割草が生えだしたら、さぞや感動的だろう。
掲句は、そんなことも想像しながら詠んだ句である。「雪割草」は春の季語。
雪割草は、キンポウゲ科ミスミソウ属の常緑多年草。一般に「雪割草」と呼ばれるものには、三角草(みすみそう)・大三角草(おおみすみそう)・洲浜草(すはまそう)などがあり自生地も違う。
雪割草としてもっとも知られているのは大三角草で日本海側の林床に多く自生しているとのこと。雪が解け始めたころ、その合間から顔を出し花を咲かせるそうだ。
花期は2月下旬から5月上旬。花弁のように見える部分は萼片で、花弁はない。花色は白、桃色、赤、紫と非常に多彩である。
*「雪割草」は正式にはサクラソウ科サクラソウ属の高山植物を指すが、キンポウゲ科ミスミソウ属のものの方が一般によく知られている。歳時記の説明においても時々混同が見られる。
「雪割草」を詠んだ句はままあり、以下には、ネットで見つけた句をいくつか掲載した。
【雪割草の参考句】
雪割草古き落葉のかげに咲く (山口青邨)
雪割草垂水の滝は巌つたふ (山口草堂)
しんしんと雪割草を恋ふるかな (青柳志解樹)
雪割草風透き通るこの辺り (高澤良一)
図書室のこの窓が好き雪割草 (行方克己)