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Channel: 写真・俳句ブログ:犬の散歩道
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■誰そ彼・彼は誰 二句

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■誰そ彼・彼は誰 二句
 
    ○ 紅葉散る誰そ彼をゆくシルエット
           ( もみじちる たそがれをゆく しるえっと )

    ○ 枯葉舞う彼は誰に聞くバイク音
           ( かれはまう かわたれにきく ばいくおん )
 
本日の掲句は、時を表す「誰そ彼」「彼は誰」という二つの言葉を使った句である。

イメージ 1「誰そ彼」とは、「たそがれ」と読み、「夕方の薄暗い時。夕暮れ。」のことを言う。文字通り、薄暗くなった夕方は人の見分けがつきにくく、「誰だ彼(あなた)は」ということから、このように言われるようになったそうだ。今は、漢字で「黄昏」と書くことがほとんどで、「こうこん」とも読む。英語では、トワイワイト。

一方、「彼は誰」とは、「かわたれ」と読み、「彼(あなた)は誰だ」とはっきり分からない薄暗い時刻を指す。明け方と夕方の両方に使われていたが、夕方を「たそがれ」というのに対し、明け方に限定して用いられるようになったとか。もっとも実際に使われることは少ないようだが。

こういう言葉は、お日様の出没に合わせて生活していた頃にできた言葉と思うが、単に明け方、夕方というよりも幾分か詩的な感じがする。ただ、今はビルや家の中で過ごすことが多く、なかなか実感できなくなった言葉でもある。

第一句は、紅葉狩りもピークを迎えた先週末に作った句で、誰そ彼(黄昏)時に、紅葉散る道を歩いて帰る人々のシルエット(影絵)を見て詠んだ句である。季語は「紅葉散る」で冬。

第二句は、第一句の対として、明け方の「彼は誰」時に合わせ、近所の景を詠んだものである。まだ薄暗い道には枯葉が降りやまず、人は誰も通っていない。その時、静けさを破るように、新聞配達のバイク音が聞こえてきた。そんな情景を詠んだ句である。季語は枯葉で冬。

写真はいずれも黄昏(たそがれ)時に撮ったもの。
 
 
    【黄昏(たそがれ)の参考句】
      山は暮れて野は黄昏の薄かな        (与謝蕪村)
      黄昏れてゆくあぢさゐの花にげてゆく   (富沢赤黄男)
 
イメージ 2


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