■ 実石榴や宇宙遊泳夢の夢
(みざくろや うちゅうゆうえい ゆめのゆめ )
石榴(ざくろ)の木は、あまり知られていないようだが、近辺では何か所かで見ることできる。この木は、6月頃に金魚のような紅い花を咲かせ、10月頃に真っ赤に実が熟し、最後にはぱっくりと割れる。
この実が熟すまでの過程が面白く、これまで目玉おやじ、風船などに喩えてきたが、今回は、人工衛星に見立てて掲句を詠んだ。とは言っても掲載の写真を見なければ多分イメージできないだろう。
今は違うが、初期の人工衛星は球体だったように記憶している。「石榴」「実石榴」「石榴の実」は秋の季語。「花石榴」「石榴の花」とすると夏の季語になる。
ところで、人類初の人工衛星といえば、1957年にソ連が打ち上げたスプートニク1号である。更に、1961年には、ソ連のボストーク1号が史上初の有人宇宙飛行を成功させた。
米ソ宇宙開発競争で後れを取ったアメリカは、1961年に人間を月に到達させるとの声明(アポロ計画)を発表。1969年にアポロ11号が史上初の有人月面着陸を成功させた。
その実況をテレビで見て興奮したことを今も覚えているが、その時は、誰もが宇宙船に乗ることができるようになり、月に人が住む時代が近い将来に来ると思った。
しかし、それから40年以上経過したが、そうはならなかった。技術的な問題もさることながら、莫大な費用がかかることがネックとなったようだ。とは言え、宇宙開発は人類の夢でもあり、あと百年もすれば宇宙に永住する人も出てくるだろう。
もっとも、自分はその頃現世に存在せず、夢のまた夢の話ではあるが。
話は戻って、「石榴」に関しては、いくつもの句を詠んできた。それを、「石榴の変身物語」という記事にまとめ、昨年その改訂版を掲載した。興味のある方は、以下のバナーをクリックしてご笑覧いただきたい。
石榴の変身物語 ← クリック
石榴は、ザクロ科ザクロ属の落葉小高木、また、その果実のこと。原産地はイラン、トルコなど。初夏(6月~7月)に鮮紅色の花をつける。果実は球状で、秋に熟すと赤く硬い外皮が裂け、ルビーのような透明な粒が無数に現れる。
「石榴」に関する句は多いが、以下では特に「石榴」「実石榴」「石榴の実」を詠んだ句を選定し掲載した。「石榴」は「柘榴」とも書く。
【実石榴等の参考句】
口あけて柘榴のたるゝ軒端哉 (正岡子規)
実柘榴や父の宿りし寺の塀 (原裕)
世間体一笑に付す石榴の実 (高澤良一)
風景に這入りしのちの柘榴の実 (田中裕明)
雨粒のひつきりなしに石榴かな (岸本尚毅)
口あけて柘榴のたるゝ軒端哉 (正岡子規)
実柘榴や父の宿りし寺の塀 (原裕)
世間体一笑に付す石榴の実 (高澤良一)
風景に這入りしのちの柘榴の実 (田中裕明)
雨粒のひつきりなしに石榴かな (岸本尚毅)