■ 入院俳句(2) 五句
昨日は、手術当日から翌日にかけての状況を掲載した。実のところ、非常にしんどかったのは、その時ぐらいで、それ以降は比較的穏やかに過ごすことができた。
( おちゃわんを ささげてしょくす じゅつごがゆ )
手術前と手術後で最も違うことは、首にカラーがついているかどうか。とにかく首を前に倒すことだけは避けなければならないというので、食事もカラーをつけたままでしなければならない。だから、御粥などは茶碗を口の高さまで捧げて食べる。
○ ハイカラー不細工にして不便なり
( はいからー ぶさいくにして ふべんなり )
以前はどうだったのか知らないが、頸椎手術の技法もかなり進歩してきているようで、今回は、術後二日目にして外に散歩に出かけることができた。ただ、カラーをつけているため真下を見ることはできず、動きは慎重にならざるを得ない。尚、「ハイカラー」は、かつてオシャレという意味で使われていた。
○ 病食に飽きて麺類恋しかり
( びょうしょくに あきて めんるい こいしかり )
術後1週間ほど立てば、食事も普通に食べれるようになるが、難しいのは前かがみで食べる麺類。うどんやラーメンが恋しくなるが、カラーが外せるようになるまで我慢しなければならなかった。
( ひびあらた いたみきえゆく ここちよさ )
術後は特にリハビリをするということもなく、散歩に出かけたり、TVを見たりして過ごす。術後2週間目まではカラーが外せないが、それでも首を動かすと痛みが走った部位が少しずつ減ってきていることが分かり、気持ちがだんだんと晴れてくる。
○ 春雨に濡れてさらりと退院す
( はるさめに ぬれてさらりと たいいんす )
手術の傷口も癒えて、当初の予定通り20日の退院となった。当日は、世話になった看護師らに挨拶し外に出たが、、おりから春の冷たい雨が降っていた。長くて短い22日間の入院。案外と淡々とした気持ちで病院を後にした。(この句で漸く季語が入る。)