■蝉づくし (2013年9月6日改訂)
◆蝉に関する句を集めた「蝉尽くし」をまとめてからもう2年たった。その間、新たに詠んだ句も加え20句近くになったので、この度改訂することにした。
◆初版の前書きにも記したが、蝉の一生は、種類によって違うが、油蝉などは地中で6年ほど生活し、地表に出て羽化して成虫になり、木などにとまって1~2週間ほど生きるそうだ。
◆この地表での短い期間、蝉は、懸命に鳴きパートナーを見つけ、命をつないで落蝉となり、土に還っていく。その生き様、まことに天晴れである。
◆今は、蝉時雨の音もほとんど聞かず、時折法師蝉の声が聞こえるだけになった。蝉の季節も完全に終焉を迎えつつあるが、ここに、蝉の句を分類し再掲することでその名残を惜しみたい。
【脱皮・羽化】 【空蝉・うつせみ】
脱皮して命を焦がせ奥手蝉 空蝉は過去の私のコスチューム
じりじりと日照り耳鳴り蝉の声
梅雨明けになるや俄かに蝉時雨
ほの暗き並木に響く蝉時雨
降りしきる雨にも負けず蝉しぐれ
それほどに呼ぶのは誰ぞ蝉時雨
【蜩・かなかな】
かなかなは蝉のしぐれにさびをつけ
かなかなの声の悲しき夕べかな
【法師蝉・つくつくぼうし】
遅がけに忙しなく鳴く法師蝉
法師蝉もういいようと鳴き止みぬ
径中にもがく落蝉木に戻す
鳴き鳴きて土へと返る蝉骸