■ 冬日和池面彩る根なし草
( ふゆびより ちめんいろどる ねなしぐさ )
写真①
これは、句から想像するよりも掲載した写真を見ていただいた方が話が早いだろう。先ず写真①だが、これは、浮草と緑藻のコラボレーション(共同、共作)による絵模様である。(この浮草の種は、多分紅葉するアカウキクサだと思うが確認できていない。)
写真②は、少し離れて撮ったものだが、世界地図の一部を切り取ったように見える。写真③は、宇宙から地球を見たような光景。そして写真④は、池の中央を映したものだが、水面に青空と雲が写っていて、浮草は大洋に浮かぶ島のように見える。
このように、自然は時として、人間の思いもよらぬ光景を描き出す。それは、山脈や渓谷のような大景だけとは限らない。
本日の掲句は、そんな景を見て詠んだものだが、もっぱら写真に添えて詠んだ句だと言って良いだろう。但し、下五に「根なし草」をおいたことで、写真から離れ、別のことを詠んだ句として見ることもできる。
尚、「根なし草」「浮草」は夏の季語なので、本句では、上五に冬の季語の「冬日和」をおき、冬の句とした。
写真②
余談だが掲句の中七に使った「池面」という熟語。池の水面という意味で使ったが、これをどう読むべきか、実はいろいろと悩まされた。これを「いけめん」と読めないこともないが、ネットで検索すると、あの美男子の「イケメン」しか出てこない。
ならば、水面(みなも)、川面(かわも)の関連で「いけも」かと思い調べたが、これも手元の辞書にはない。それでは、海面(かいめん)、湖面(こめん)の流れで、「ちめん」なら良いのではと思ったが、やはり辞書には載っていなかった。
ただ、ネットの「知恵袋」というサイトに「大漢和辞典」の熟語索引に「ちめん」と載っているという記事があり、取りあえずはそれを採用することにした。普通の文であれば、「池の水面(みなも)」「池の面(おもて)」という表現でも良いのだが、俳句となると、3音と6音では大きな違いである。
写真③
![イメージ 4]()
参考句に関しては、季節外れだが、夏の季語の「浮草」「根なし草」を詠んだ句をいくつか抽出し掲載した。尚、俳句では浮草を「萍」と書くことが多い。
春寒し水田の上の根なし草 (河東碧梧桐)
浮草や蛙のつらの浮上る (寺田寅彦)
萍を逃るるさまに漕ぎ離れ (中村汀女)
孤独なれば浮草浮くを見にいづる (細見綾子)
萍の隙間怖れし昔かな (桂信子)
萍を逃るるさまに漕ぎ離れ (中村汀女)
孤独なれば浮草浮くを見にいづる (細見綾子)
萍の隙間怖れし昔かな (桂信子)
写真④![イメージ 2]()