■ わびさびを知るや侘助雨に落つ
( わびさびを しるや わびすけ あめにおつ )
本日の掲句は、そんな情景を見て詠んだ句である。「侘助は『わびさび』を知っているのだろうか。冷たい雨に打たれて、寂しく落ちている。」というのが句意である。「侘助」は冬の季語。
因みに昨年も落花に着目して以下の句を詠んでいる。
侘助の社寂しき落花かな
*社(やしろ)
ところで、本当のところ「わびさび」とは何なのか。実は昨年も同じことを考え、ネットで調べ、その要約を記事に掲載した。参考まで以下に再掲したい。
●「わび」も「さび」も、茶の湯や松尾芭蕉の俳句に見られるもので、日本人の伝統的な美意識の一つである。
●いずれも、ある種の寂寥感が根底にあり、簡略を善しとし、華美を嫌うという点が共通している。
●「わび」は、静かに澄んで落ち着いた様子を表し、「粗末な状態に満足する精神的境地」と考えられる。
●「さび」は枯れて渋みがあることを意味し、「古いものの内側から滲み出てくるような、外装などに関係しない美しさ」と考えられる。
何となく分かったような分からないような感じだが、まだまだ、わびさびに浸る心境には至っていないというのが正直なところである。やはりまだ、数年前に詠んだ以下の句の心境からは脱していない。
わびさびを わさびにかえて ひややっこ
侘助は、ツバキ科ツバキ属の園芸品種で、一般の椿より花期が早く、12月頃から咲き始める。葉も花も小ぶりで、白、紅、しぼりなどの一重の花が半開きに咲く控え目な姿が好まれ、茶花としても重用されている。
名前の由来については、利休と同じ時代の泉州堺に 笠原七老兵衛という茶人がいて、後に還俗侘助(げんぞくわびすけ)といったが、この茶人がひどくこの花を愛玩したところから、いつとなく侘助という名で呼ばれるようになったという説がある。(異説多し)
侘助の参考句は、これまでもいくつか掲載したが、今回それ以外のものを選定し掲載する。
【侘助の参考句】
侘助は一輪ざしに似合うもの (高浜年尾)
佗助の口籠るごと咲きにけり (松崎鉄之介)
侘助の白き小花の咲きそろふ (阿部ひろし)
竹林を逃げし日ざしの侘助に (上村占魚)
佗助の佗び寂びといふ雅びかな (川崎光一郎)
佗助の口籠るごと咲きにけり (松崎鉄之介)
侘助の白き小花の咲きそろふ (阿部ひろし)
竹林を逃げし日ざしの侘助に (上村占魚)
佗助の佗び寂びといふ雅びかな (川崎光一郎)