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Channel: 写真・俳句ブログ:犬の散歩道
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プライドの鳶の鉤口冬ざるる

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■ プライドの鳶の鉤口冬ざるる
               ( ぷらいどの とびのかぎぐち ふゆざるる )
 
イメージ 4先日、久しぶりに鴨川に立ち寄った。川辺にはたくさんの水鳥が泳いでいたが、上空に目をやると十数羽の鳶(とんび、とび)が、空高く飛んでいた。そして、その内の数羽が電線に止まった。

その様子を眺めていた橋の上から十数メートルぐらいの距離だったので、我が愛用のコンデジでも難なく写真が撮れた。後でPCに取り込んで見た時、比較的大きく写っていたものがあり、そこで最も目を引いたのは鳶の鉤状の嘴である。別に目新しいことでもないが、鳶は猛禽類の仲間であることを再確認した。

本日の掲句は、そのことをベースに詠んだ句である。すなわち、鳶は猛禽類であることのプライドを、その鉤口で示していると詠んだ。下五については、冬の季語として「冬紅葉」「冬の天」などいくつか考えたが、これから迎える厳しい環境のことを想起し「冬ざるる」をおいた。*冬ざるる:冬の風物の荒れさびた感じ。

ところで、鳶は季語ではないようだが、今回、鷲(わし) 、鷹(たか)、 隼(はやぶさ)が冬の季語になっていることを知った。同じ猛禽類なのに何故と思ったが、ネット調べてもよく分からなかった。鳥の季語の分類は非常に複雑であり、今後機会があれば詳しく調べてみたい。

イメージ 1
 
因みに、鳶については過去に以下の句を詠んでいる。

     【関連句】
      ① 北風に鳶ひゅるりと旋回す 
*鳶(とんび)
      ② 鳶も見ん糺の森の冬紅葉

①は、鳶が空を飛んでいるのを見ていた時に、「夕焼け空がまっかっか 鳶がくるりと輪をかいた」という歌のフレーズを思いだして詠んだ句。②は、京都の下鴨神社境内にある糺の森(ただすのもり)の真上を飛んでいた鳶と冬紅葉の配合を考えて詠んだ句。

イメージ 2
 
鳶(とび、とんび)は、タカ目タカ科に属する鳥類の一種。主に上昇気流を利用して輪を描くように滑空し、羽ばたくことは少ない。視力が非常に優れていると言われ、上空を飛翔しながら餌を探し、餌を見つけるとその場所に急降下して捕らえる。

餌は、主に動物の死骸やカエル、トカゲ、ヘビ、魚などの小動物。都市部では生ゴミなども食べ、公園などで弁当の中身をさらうこともある。「ピーヒョロロロロ…」という鳴き声はよく知られており、日本ではもっとも身近な猛禽類である。

鳶は身近にいる鳥のせいか、詠まれた句は非常に多い。但し、季語になっていないため、大概他の季語との配合の句になっている。以下参考までいくつかの句を掲載する。

     【鳶を詠んだ参考句】
      大根引くや低くさがりて鳶の声      (村上鬼城)
      群鳶の舞なめらかに初御空        (富安風生)
      蓬莱や湖の空より鳶のこゑ        (森澄雄)
      春の鳶寄りわかれては高みつつ    (飯田龍太)
      鳶の輪の高きに夏至はきておりぬ    (永田耕一郎)
 
イメージ 3

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