■ 艶やかに咲きて俯くダリアかな
( あでやかに さきてうつむく だりあかな )
ダリアは夏の花というイメージが強いが、先日植物園に行っ時には、まだ大輪の花を咲かせていた。
それは、ダリアの種類が非常に多く、しかも花色や花容がかなり違っていて、焦点が定まらなかったためだと思う。また、ものによっては、ひときわ艶(あで)やかで、どう表現しても陳腐に思えてくるからだろう。
本日の掲句は、大輪をつけたダリアが、その花の重さに耐えかねて、少し俯き加減に咲いているのを見て詠んだ句である。やや盛りを過ぎた感じは否めない。尚、ダリアは夏の季語なので、季節はずれるが、夏の句として残しておきたい。
ところで、「艶やか」は、「あでやか」とも、「つややか」とも読まれる。「あでやか」は、色気のある美しさ、艶(なま)めかしさのことを言うが、「つややか」の方は、元々は光沢のある美しさのことを言った。しかし、最近は、艶っぽい(つやっぽい)、色っぽいなどの意味でも使われることも多いようだ。
花を形容する時には、他に「綺麗」」「可愛い」「美しい」「華やか」などを使うが、「艶やか」はどちらかというと、大柄で、ふっくっらとしていて、派手な感じの花に使うことが多い。例えば、牡丹(ぼたん)、芍薬(しゃくやく)、大輪の菊など。
ダリアは、キク科ダリア属の多年生草本植物の総称。原産地はメキシコで、日本には江戸末期に渡来したそうだ。花期は7月~10月。非常に多くの園芸品種があり、花の大きさやかたち、草丈で分類されているとのこと。
「ダリア」 (dahlia) の名は、スウェーデンの植物学者アンデシュ・ダール (Anders Dahl) にちなむ。和名では、花の形が牡丹に似ているため、天竺牡丹(てんじくぼたん)という。
【ダリアの参考句】
一輪の黄なるダリアに心寄す (原石鼎)
露重きダリア垂れたり深曇 (有働亨)
踏切にせりだしてゐるダリアかな (日原傳)
傘さしてダリアの中の乙女かな (野村泊月)
太陽に面を向けてダリアかな (城戸杉生)
露重きダリア垂れたり深曇 (有働亨)
踏切にせりだしてゐるダリアかな (日原傳)
傘さしてダリアの中の乙女かな (野村泊月)
太陽に面を向けてダリアかな (城戸杉生)