■ 箒木の穂にちりちりと塵の花
( ほうきぎの ほにちりちりと ちりのはな )
箒木に花が咲くなんて思ってもいなかったので少々驚いたが、そこでひらめいたのが、「箒」と「塵」の取り合わせの掲句。語呂合わせも考えた遊びの句で、あまり深みのある句とはいえないが、何となく面白いと思い残すことにした。
尚、後で調べてみると、「箒木」は、晩夏に黄緑の小花つけることから、夏の季語になっている。しかし、実際に見たのはピンクの花で、時期は今の仲秋。そこで更に調べてみると、赤い花をつけるものもあることが分かった。ただ、本句は必ずしも秋に拘る必要はないので、夏の句として残すことにした。
箒木(ほうきぎ)は、アカザ科ホウキギ属の一年草。原産地は南ヨーロッパ、アジアで、日本には平安時代に中国経由で渡来。江戸時代には、後述の実用価値もあり広く栽培されていたそうだ。
箒のような細かい茎が特徴で、春や夏は緑色だが、 秋に紅葉し、茎も同様に赤くなる。8月~10月に淡い緑色ないしは紅色をした小花を穂状につけるが、 花びらはなく、あまり目立たない。
昔は茎を乾燥させて束ね、箒として利用されていたそうで、そのことも、名前の由来ともなっている。また、成熟果実は秋田県の特産品「とんぶり」の材料となっている。プチプチした食感と色合いから「畑のキャビア」とも言われているそうだが、当方、まだ食べたことはない。
別名には、箒草(ほうきぐさ)、コキアなどがある。
【箒木の参考句】
箒木の門に遊ぶや童達 (村上鬼城)
箒木の四五本同じ形かな (正岡子規)
箒木に影といふものありにけり (高浜虚子)
箒木に秋めく霧の一夜かな (西島麦南)
石走る水のとばしり箒木に (飴山實)
箒木の門に遊ぶや童達 (村上鬼城)
箒木の四五本同じ形かな (正岡子規)
箒木に影といふものありにけり (高浜虚子)
箒木に秋めく霧の一夜かな (西島麦南)
石走る水のとばしり箒木に (飴山實)